From:西田貴大
先日、録画していた関西ローカルのテレビ番組で、『スタンフォード式リーダーシップ術』の特集をやっていました。
番組では、いま注目を集めている名著『スタンフォード式最高のリーダーシップ』(スティーブン・マーフィー重松 著)の考え方が紹介されており、スタンフォード大学で教えられている「脳科学・心理学・歴史学に裏打ちされた最新のノウハウ」が非常に本質的だったのでシェアしたいと思います。
「日本人はリーダーに向いている」というスタンフォードの結論
リーダーシップというと、「欧米のカリスマ社長のように、自己主張が強くてトップダウンで引っ張る力」をイメージするかもしれません。 しかし、同書の著者であるスティーブン・マーフィー重松氏によると、「実は、日本人はリーダーにとても向いている」のだそうです。
欧米型のリーダーは自己主張が得意な反面、人の意見を聞かずに独裁的になりやすいという弱点があります。一方、日本人は自己主張こそ苦手ですが、「調和を重んじる(チームをまとめる)」という、これからの時代のリーダーに最も重要な要素を最初から持っているからです。 (※もちろん、最終的には両方のバランスが大事とのことです)
リーダーシップとは、一部の天才だけのビジネススキルではありません。友人関係や親子関係など、あらゆる人間関係を円滑にする「コミュニケーションの技術(構造)」そのものです。
では、日本人が本来持っている強みを活かし、周りが自発的に動く「最高のチーム」を作るにはどうすればいいのか? 番組や書籍で紹介されていたノウハウを解説していきます。
あなたはやっていませんか?リーダーの「3つの致命的な間違い」

最新の研究で分かっている、日本の管理職や経営者がやってしまいがちな「絶対にやってはいけないマネジメント(間違い)」を3つ紹介します。
間違い① プレッシャーやペナルティで動かす
部下が失敗したときに「次やったら降格だぞ」とプレッシャーをかけたり、ペナルティをちらつかせて動かそうとする手法です。
確かにその部下は一時的にミスを恐れるかもしれませんが、それを見ていた周りの社員が「次は自分かもしれない」と萎縮し、誰も新しいチャレンジをしなくなります。結果として、チーム全体の生産性が高い確率で下がってしまうことが分かっています。
間違い② 社交辞令で小さな約束を破る
部下に「今度飲みに行こう」と軽く誘ったきり、まったく連れて行かない。 実はこれ、リーダー失格の行動です。目下の人間にとって、目上の人の言葉はどんな些細なことでも「約束」として心理的にインプットされます。それを破り続けると、「この人は口だけで信用できない」と確実に不信感を抱かれます。
リーダーは軽はずみな約束(社交辞令)をしないこと。そして、言ったことは意地でも守ることが求められます。 (ちなみに僕は社交辞令が大嫌いで、お酒も飲まないので、絶対に「飲みに行こう」とは言いません 笑)
間違い③ 「定期的に褒める」ことをモチベーションにする
部下を動かすために、ボーナスを出したり「定期的に褒める」ことでやる気を出させようとするのは、実はNGなマネジメントです。
これらは『外的モチベーション』と呼ばれ、最初は効果がありますが、だんだん「褒められる(もらえる)ことが当たり前」になってきます。すると、褒められなかったときに労働意欲が一気に下がり、結果的に仕事の効率が悪くなってしまうのです。
スタンフォード式「最高のリーダー」になるための3つの条件
では、プレッシャーもダメ、ボーナスもダメ、定期的に褒めるのもダメなら、リーダーはどうやってチームを動かせばいいのでしょうか? その答え(正しいリーダーシップの構造)をお伝えします。
条件1:語るのではなく「質問」せよ
目上の人は、リーダーシップを見せようと「俺はこう思うんだけど」と先に自分の考えを言いがちです。しかしそれをやると、メンバーは萎縮して本音(反対意見)を話せなくなります。
人間には「自分に関心を寄せてくれた人に対して、お返しのように関心を持つ」という心理(返報性の原理)があります。 だからこそ、リーダーは自分の意見を飲み込み、まず部下に「君はどう思う?」と積極的に質問(コーチング)をしてください。そうすることで部下は心を開き、活発な意見が出る建設的なチームになります。
(※もし質問しても部下が黙り込んでしまう場合は、「君が間違っていても絶対に怒らないし、評価も下げないから、安心して素直な意見を聞かせてほしい」と、先に心理的な安全地帯(環境)を作ってあげることから始めてください)
条件2:「部下の頑張りが、全体の利益にどう繋がっているか」を伝える
先ほど「ボーナスや定期的に褒めるのはNG」と言いましたが、ではどうやってモチベーションを持続させるのか?
答えは、「君のその頑張りが、チーム全体(あるいは社会)にどう役立っているか」という『意味』を伝えることです。 外から与えられたエサ(外的モチベーション)ではなく、「自分の仕事には価値があるんだ」という内側から湧き出るやりがい(内的モチベーション)に火をつけたとき、人は最も長期的に、そして自発的に動き続けます。
条件3:部下に任せ、「すべての責任は自分が取る」姿勢を見せる
日本人に多いのが、仕事を全部一人で抱え込んでしまう「自己犠牲型のリーダー」です。一見、部下想いのいい上司に見えますが、部下からすれば「自分は信用されていない」「手柄を独占したいのかな」という不信感に繋がります。
最高のリーダーは、部下を信じて仕事を任せます。そして、もし失敗したときは「すべての責任は自分が取る」という姿勢を言葉と行動で示します。
たとえば、戦後初の首相である吉田茂は、敗戦国の日本にとって不利な条約(日米安保)の調印式に向かう際、他の委員の出席を許さず、「私一人で行きます」と自分一人で国民からのバッシング(責任)を背負おうとしました。 その「責任はすべて自分が取る」という強烈な姿勢を見せ続けたからこそ、彼は長きにわたり多くの人々から支持されたのです。
【重要】エースを集めるな!最高のチームを作る「5つのタイプ」
ここまでの話を聞いて、「スタンフォードやGoogleだから通用するんでしょ。うちの社員は平凡だから、細かく指示してプレッシャーをかけないと動かないよ」と思った経営者の方もいるかもしれません。
でも、あえて厳しいことを言いますね。それこそが組織をダメにする最大の勘違いです。
実はスタンフォードの研究でも、「全員が優秀なエース(スタープレイヤー)ばかりを集めたチーム」よりも、「一人ひとりの能力は平凡でも、以下の『5つの違う個性』が集まったチーム」の方が、はるかに高い業績を出すことが分かっています。
- 実行力のある人
- 協力的な人
- 真面目な人
- 温厚な人
- 自由な人
スモールビジネスに、「全員が優秀なエース」なんて絶対に集まりません。もし奇跡的に集まったとしても、自己主張がぶつかり合ってチームは一瞬で崩壊します。
リーダーの仕事は、社員の能力の低さを嘆いてプレッシャーで無理やり動かすことではありません。
それぞれ違う個性を持った平凡な人たちが、パズルのようにカチッとハマり、それぞれの強みを活かして自発的に動ける『環境(構造)』を作ることです。 「うちの社員は動かない」と嘆く前に、まずはあなた自身が、部下の話に耳を傾け、失敗の責任を引き受ける「最高のリーダーシップの構造」を作れているかを疑ってみてください。
明日からできる「スタンフォード式」マネジメントの復習
最後に、明日からあなたの会社ですぐに実践できるリーダーシップの構造をまとめておきます。
- やめること: プレッシャーで脅す、社交辞令を言う、ご褒美(ボーナス)だけで釣る
- やること: 自分の意見を言う前に「質問」する、仕事の「意味」を伝える、すべての「責任」を引き受ける
- チーム作り: 自分と同じエースを集めるのではなく、違う個性を持った「5つのタイプ」を集めてパズルを組む
まとめ:あなたの弱さをさらけ出せるか?

番組の中で、スタンフォード大学のアメフトチームのエースだった選手のエピソードが紹介されていました。 彼は大事な大会で2度もキックを失敗し、チームを敗退させて大バッシングを受けました。しかしその後、彼は「自分が失敗した大会名が入った帽子」をかぶって登校したのです。
自分の失敗(弱さ)を隠さずにオープンにさらけ出す。 すると、周りは彼を非難するのをやめ、逆に全力で応援するようになりました。結果、彼はその1年後の大会でゴールを決め、見事ヒーローになったのです。
部下を力でねじ伏せるのがリーダーではありません。 自分の弱さを認め、責任を引き受け、部下を信じて任せる。それこそが、人が自然とついてくる「最高のリーダーシップ」の構造です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. 本文でお伝えした通り、チームを動かすために必要なのは「プレッシャー」や「小手先の褒め言葉」ではなく、部下が自ら動きたくなる『環境と構造』を作ることです。
しかし、自分一人でビジネスやチームを回していると、思い込みが邪魔をして「自分のマネジメントのどこが間違っているのか(なぜ部下が動かないのか)」を客観的に見つけるのは非常に困難です。
現在、あなたのビジネスや組織の隠れた課題(マネジメントのズレや構造の欠陥)を論理的にあぶり出す『マーケティング・ボトルネック診断』を無料で公開しています。
いくつかの質問に直感で答えていくだけで、あなたが今すぐ対処すべき「本当の課題」と、次に打つべき具体的な一手が見えてくるはずです。
プレッシャーで無理やり人を動かす労働地獄はもう終わりにして、従業員が自発的に動き、自然と利益があがる強固なビジネス構造を作っていきましょう。
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