値決めは経営!価格の心理学と、利益をすり減らす「価格設定の罠」

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From:西田貴大

新年早々、マーケティングを専門とするコンサルタントとして「どうなのよ?」という、お恥ずかしいお話を白状します。

実は年明けに、ブックオフの初売りセールに見事に引っかかってしまい、ものすごい散財をしてしまいました……。

毎年お正月休みには、絶版になったビジネス書を探しに行くのが恒例なのですが、そこで現在販売されていないマイケル・マスターソン(ダイレクト・レスポンス・マーケティング業界の超大物)の本を発見してしまったのです。

そりゃあもう、躊躇なく買いますよね。 そして、「どうせ1冊買うなら、20%オフの今買っておいた方が安い」と、あれもこれもと手に取ってしまい、気がつけば両手に大量の本の袋をぶら下げて帰るハメになっていました。(ダイレクト出版さんの本など、すでに価値を知っている本ばかりですが 笑)

普段、経営者の方々に「安売りするな!価値で勝負しろ!」と口酸っぱく言っている僕ですら、見事に引っかかってしまうのが「価格の心理学」の恐ろしいところです。

というわけで今回は、人の脳のバグを利用した『価格の心理学』のテクニックと、多くの人が陥ってしまう「値決めの罠(本質)」についてお話しします。

目次

なぜ、298円や398円という中途半端な価格設定が多いのか?

スーパーや量販店に行くと、298円や398円といった中途半端な価格をよく見かけますよね。「300円ピッタリの方が、キリが良くて気持ちいいのに」と思ったことはありませんか?

このキリの悪い端数の価格設定には、人間の脳の構造を利用した明確な理由があります。

たとえば、298円と300円。実際の差額は「たったの2円」です。 しかし、人間の脳は、この2円を「たった2円の差」としては処理してくれません。脳は左の数字から情報を処理するため、無意識のうちに以下のようにカテゴリー分けをしてしまいます。

  • 298円 = 200円台のグループ
  • 300円 = 300円台のグループ

つまり、実際の差はたった2円なのに、お客さんの頭の中では「100円もの大きな差(桁が変わったような錯覚)」として認識されてしまうのです。

キリの良い数字を使ってしまうと、意図せずに頭の中でひとつ上の高いカテゴリーに入ってしまい、お客さんが実際よりもはるかに高く感じてしまいます。だからこそ、あえてキリの悪い数字が使われているわけですね。

奇数を使うと安く感じる?脳の不思議な錯覚

さらに、この脳のバグを利用して、価格をもっと安く感じさせるテクニックがあります。 それは、価格の表記に『奇数を使う』ことです。

実は人間の脳には、「奇数の方が少なく感じる」という謎の構造があります。(なぜそうなるのか、理由ははっきりと解明されていません)

たとえば、以下の2つの計算式をパッと見てみてください。

  • A:27 + 41 + 73 = ?
  • B:22 + 64 + 52 = ?

直感的に、どちらの答えの方が数字が大きくなりそうだと感じましたか? おそらく、下(B)の偶数ばかりの計算式の方が大きく感じたのではないでしょうか。

しかし実際の正解は、奇数の方(A)の合計が141で、偶数の方(B)の合計が138です。(この流れで偶数の方が大きかったらおかしいですが 笑)

このように、人の脳は奇数の方を無意識に「少ない(安い)」と感じてしまいます。

つまり、298円と表記するよりも、あえて1円高くして「299円」と表記した方が、お客さんは安く感じてくれて成約率があがり、なおかつ、売り手側も「1円分」多く利益が取れるのです。塵も積もれば山となる、売り手にとって非常にありがたい心理テクニックです。

伝説のマーケッターが発見した「一番売れる数字」

ちなみになんですが、僕が大好きなアメリカの伝説的なマーケッターであるテッド・ニコラスが、あらゆる価格で膨大なテストを繰り返した結果、ある法則を発見しました。

これも理由は脳科学的に証明されていませんが、「価格の末尾を『7』にした場合が、最も売上があがった」そうです。(別の著名なマーケッターも、末尾は7が一番売れると言っています)

もしあなたがチラシやPOP、ランディングページで価格を設定するときは、この「末尾を7(奇数)にする」というやり方を、ぜひ試してみてください。1円、10円の利益の差が、積もり積もれば馬鹿にならない利益をもたらしてくれます。

【警告】小手先の価格テクニックが引き起こす「労働地獄」

さて、ここまで「価格の心理学」という非常に強力なテクニックについて解説してきました。

「なるほど!じゃあ明日からうちの商品も、末尾を7にして、9,997円にしよう!」と思った方。ちょっと待ってください。

マーケティングの専門家として、一番大切な「不変の原理原則」をお伝えします。

たしかに、末尾を7にしたり、端数価格を使ったりする心理学は有効です。 しかし、そもそもあなたの商品(オファー)の価値が魅力的でなければ、末尾を7にしたところで1個も売れることはありません。

そして何より恐ろしいのは、価格のテクニックにばかり気を取られ、「利益率の低い商品」を心理学の力で無理やり売り続けてしまうことです。

たとえば、原価や人件費が8,000円かかる商品を、価格の心理学を使って「9,997円」で大量に売ったとします。たしかに売上はあがりますが、手元に残る利益はスズメの涙です。 薄利多売のビジネスモデルのまま、いくら心理学を駆使して販売数を増やしたところで、待っているのは「売れば売るほど忙しいのに、手元に現金が残らない」という労働地獄だけです。

値決めは経営。利益が残る「構造」を作れ

値決めは経営そのものです。 小手先の心理テクニックに頼る前に、まずは「しっかりとした利益が残る商品単価」と、「その価格を提示しても、お客さんが喜んで買ってくれるだけの圧倒的な価値(オファー)」という、ビジネスの根本的な『構造』を作ることが絶対条件なのです。

ビジネスの土台がグラグラなまま、価格の末尾だけをいじるようなモグラたたきはやめてくださいね。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

西田貴大


P.S. 本文の最後でもお伝えしましたが、ビジネスにおいて一番やってはいけないのは、小手先のテクニック(価格の見せ方や集客手法)に逃げて、根本的な「利益構造」や「オファーの弱さ」から目を背けることです。

どれだけ心理学を駆使して売上をあげても、ビジネスの仕組み(土台)に欠陥があれば、ザルで水をすくうように利益も時間もこぼれ落ちていきます。

もしあなたが「いろいろなテクニックを試しているのに、なぜか会社が楽にならない…」「いつも集客や値決めで悩んでいて、利益が残らない…」と感じているなら、まずは客観的な視点でビジネスの現状を診断してみることをおすすめします。

現在、あなたのビジネスの隠れた課題を論理的にあぶり出す『マーケティング・ボトルネック診断』を無料で公開しています。

いくつかの質問に直感で答えていくだけで、あなたが今すぐ対処すべき「本当の課題」と、次に打つべき具体的な一手が見えてくるはずです。

小手先の心理テクニックに依存するその場しのぎの経営はもう終わりにして、利益がしっかり残り、社長が働かなくても回る強固なビジネス構造を作っていきましょう。

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