From:西田貴大
最近、僕が個人的にすごく気になっている商品があります。 マッスルテックという会社の『クリアマッスル』という、筋トレ愛好家にはたまらないサプリメントなのですが……これ、何がすごいって「広告の表現(数字)」が秀逸なんです。
「米国のタンパ大学で実施された研究で、この成分を飲んだ被験者は、平均して12週間で7㎏も筋肉が増えた」
約3ヶ月と言わずに「12週間」と短く感じさせ、約10kgではなく「7kg」とリアルな数字を出す。具体的な期間と効果を明記することで説得力が増し、他の商品と明確に差別化できています。
しかし、マーケティングの視点から見ると、この素晴らしい商品に「たった1つ」追加するだけで、売上を今の2倍に跳ね上げることができる強力なパーツが欠けています。
それは……『保証』です。
売上を爆発させる「リスクリバーサル」の考え方

もしこのサプリメントに、「試しに12週間飲んでみて、筋肉がついたと確実に実感できなければ全額返金します!」という保証がついていたらどうでしょうか?(※健康食品の法律面はいったん置いておきます)
「本当にそんなに効果があるのか?」と疑っているお客さんの背中を、ドンッ!と強く押すことができますよね。
「でも、そんな返金保証をつけたら、本当に返品された時に赤字になってしまう…怖い…」 真面目な経営者ほど、そう言って導入をためらいます。
しかし、ここで少し冷静に考えてみてください。 あなたが「返金されるのが怖い」と感じているということは……保証がなかった場合、お客さんも同じように「この商品を買って失敗したらどうしよう」という大きな恐怖(リスク)を抱えながらお金を払っている、ということです。
あなたは商品を売る際に何のリスクも負わず、お客さんだけがすべてのリスクを背負って商品を買う。……これって、決して「フェアな取引」とは言えませんよね。
だからこそ、お客さんが感じている恐怖(リスク)を、売り手であるあなたがすべて肩代わりして取り除いてあげる。この考え方をマーケティング用語で『リスクリバーサル(リスクの逆転)』と呼びます。
【実体験】返品を許した店で、僕が4倍の価格の商品を買った理由

「理屈はわかるけど、やっぱり悪用されて返金ばかりされたら店が潰れる!」
と、まだ恐怖が拭いきれないかもしれません。そんな方のために、つい先日、僕自身が「お客さん側」として体験した生々しいエピソードをお話しします。
仕事の通話用に、大手家電量販店で数千円のマイクを買った時のことです。 家に帰って意気揚々とテストしてみたのですが、なんとパソコンとの相性が悪く、大声で叫ばないと音を拾わないという大ハズレの製品でした。 僕は「さすがに開封して通電までしちゃったし、返品は無理かな…」とダメ元で、購入した家電量販店(実はそこは、僕の中でいつも行く店ではなく『2番手の店』でした)に相談に行きました。
すると、担当の店員さんが店のパソコンでテストしてくれ、「あ〜、こりゃダメだ!別のにしましょう!」と、あっさりと初期不良(相性問題)としての返品・返金を許可してくれたのです。
この「神対応(僕のリスクの引き受け)」を受けた瞬間、僕の心境はどうなったと思いますか? 「この店は、僕が失敗したリスクを嫌な顔ひとつせず引き受けてくれた。次からも絶対にこの店で、この担当者さんから買おう!」と、2番手だったその店が僕の中で「圧倒的ナンバーワン」に変わったのです。
しかも、その後の行動がさらに重要です。 返金してもらったはいいものの、マイクがないと仕事になりません。店員さんと一緒に別のマイクを探したのですが良いものがなく、最終的に「もう、絶対に音を拾う『ゲーム実況用のヘッドセット』しかないですね。ただ、値段が跳ね上がりますが…」と提案されました。
結果、僕はどうしたか? その店で、返品したマイクの「4倍以上の価格」がするゲーミングヘッドセットを、やけくそ気味に(しかし気持ちよく)購入して帰ったのです。
(※お客さんの信頼を得た直後に、より高単価な提案がスッと通る理由は、こちらの[アップセル・クロスセルの記事]でも詳しく解説しています)
僕の事例でお分かりいただけたでしょうか。
たとえ返品(返金)を受け付けたとしても、リスクを取り除いてくれた神対応に感動したお客さんは、「返金してもらったお金で、同じ店で、より高い代替品を買う」という行動に出る確率が非常に高いのです。少なくとも、その後のリピート率は確実に跳ね上がります。
ノードストロームの伝説から学ぶ、保証の本当の意味

この「損して得取れ」の究極系とも言えるのが、アメリカの高級デパート『ノードストローム』の無条件の返金保証です。
彼らの徹底ぶりは常軌を逸しています。 お客さんが「ここで買った」と言えば、レシートがなくても一切疑わず、お客さんが自己申告した値段でそのまま返金します。それが何年前に買ったものであろうと、ボロボロになっていようと受け付けるのです。 極めつけは、「絶対に自社では扱っていないはずのタイヤ」を返品に持ち込まれたときですら、お客さんの言葉を信じてタイヤ代を返金したという伝説が残っているほどです。(※この圧倒的な顧客第一主義がすさまじい口コミを生み、彼らは世界トップクラスのブランドを築き上げました)
「そんなことをしたら、悪意のあるクレーマーの標的にされて店が潰れるのでは?」と思うかもしれません。 しかし、彼らもただの馬鹿なお人好しではありません。1回目、2回目は無条件でお客さんを信じますが、3回目に「明らかにおかしい(悪意のある)要求」をしてきたお客さんに対しては、スッパリと「今後、あなたはうちのお客さんではありません」と毅然とした態度で顧客リストから追放するそうです。
リスクリバーサルとは、ただ媚びを売ることではありません。「優良なお客さんを極限まで信じ抜く代わりに、悪意のあるクレーマーとは縁を切る」という、非常に論理的でフェアな選別システムなのです。
データが証明する「儲け」の構造と、返金率0%の罠

感情や体験談といった定性的な話だけではありません。数字(データ)で見ても、この「損して得取れ」の構造は明確に証明されています。
伝説のコピーライターであるテッド・ニコラスをはじめとする膨大なテストデータによれば、あなたがきちんとした商品を扱っている限り、返金率は多くても「3%未満」に収まります。
それに対し、リスクリバーサル(保証)を導入することによってあがる売上は「平均して1.5倍〜2倍」、テッド・ニコラスによれば「最大で5倍」にもなると言われています。
さらに、世界的なマーケターであるダン・ケネディは、非常に本質的なことを言っています。 「もし、あなたの商品の返金率が『0%』だとしたら、それはビジネスとして非常に危険な状態(大問題)である」と。
なぜ、返金されないことが「やばい」のでしょうか? それは、あなたのメッセージ(お客さんへの約束)が弱すぎる証拠だからです。絶対にクレームや返金が来ないような、無難で弱気な約束しか提示していないため、本来買ってもらえるはずの多くの見込み客を逃してしまっているのです。
少し返金が来るくらい、限界まで強気な約束(オファー)をして網を広げれば、3%の返金(ロス)が発生する代わりに、売上自体は2倍、3倍へと爆発的にあがります。
さらに、この強気なオファーを極限まで高めた『BTRF(ベター・ザン・リスクフリー=リスクゼロ以上の状態)』という強力な戦術もあります。 たとえば、「もし効果を感じなければ、全額返金するだけでなく、あなたの貴重な時間を奪ってしまったお詫びとして『迷惑料(倍額の返金や、数万円相当の別商品のプレゼントなど)』をお渡しします」という究極の保証です。
ここまでやれば、お客さんにとって「買わない理由」は完全に消滅します。もちろん一時的な返金のダメージは伴いますが、それをはるかに凌駕するほどの爆発的な売上と、「そこまで言い切るなんて本物に違いない」という強烈な信頼(口コミ)を同時に獲得できるのです。
目先の「数パーセントの返金(損)」にビビって小さな約束しかしないのは、その裏にある「何倍もの売上(大きな得)」をドブに捨てているのと同じです。圧倒的に儲けの方が多くなる構造なのです。
まとめ:フェアな取引をする覚悟を持て

商品を売る時に、お客さんに約束したことが実際に達成できなかったのであれば、いただいたお金をお返しする(あるいは達成するまで無償でサポートする)。 本来、これがビジネスにおける「本当にフェアな取引」の姿ですよね。
(※もちろん、住宅やコンサルティングなど「商品の性質上、どうしても全額返金が難しい業種」もあるはずです。その場合は、お金を返す代わりに「結果が出るまで無償で期間を延長してサポートする」「購入前に、過去のお客さんに直接会って裏話を聞けるように手配する」など、別の形で『お客さんのリスク』を徹底的に取り除く工夫をしてみてください)
保証を導入するのは、最初は足がすくむほど怖いかもしれません。 しかし、その「お客さんのリスクを背負う覚悟」を決めた瞬間、あなたのビジネスの売上は急激に伸び、熱狂的なリピーターが生まれます。
勇気を出して、あなたの商品に『リスクリバーサル』を導入してみてください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. 本文でお話しした、やけくそで買ったガチのゲーミングヘッドセットですが……今後のZoomコンサルで、やべぇヘッドセットを付けた僕が登場しても、どうか笑わないでくださいね(笑)
さて、今回お伝えした「リスクリバーサル(保証)」のように、ビジネスにはちょっとした見せ方や構造を変えるだけで、売上が2倍にも3倍にもなるポイントがいくつも存在します。
「いろいろ試しているのに、なぜか商品が売れない…」
「新規のお客さんが、買う直前でいつも逃げてしまう…」
もしあなたがそう感じているなら、それは集客の数が足りないのではなく、今回のような「お客さんの見えないリスク(恐怖)」を取り除く構造が欠落している可能性が高いです。
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いくつかの質問に直感で答えていただくだけで、今すぐ対処すべき「本当の課題」と、次に打つべき具体的な一手が見えてくるはずです。お客さんの恐怖を取り除く前に、まずはご自身のビジネスの現状を客観的に診断してみてください。
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