From:西田貴大
突然ですが、つい先日……とあるハガキが僕の元に送られてきました。 それは、地元のお祭りの同友会に入会しろという案内の手紙でした。
ここ10年くらい、毎年、毎年送ってきて……正直もううんざりしています。 (もういらんわ!送ってこんでええねん!)
そもそも僕は、お祭りに参加しなくなって、もう5年ぐらい経ちます。 (しかも、気に入らないと暴力を振るうような、結構なお偉いさん的な人に我慢の限界がきて、反抗して辞めているのに……)
辞めた経緯から絶対に、お祭りにへぇこら戻ってきて同友会に入りそうにないことぐらい、普通に考えれば簡単に分かると思うんですがねぇ……。お祭りの予算が、無駄なハガキを送りまくれるほど有り余っているんでしょうかねぇ(笑)
広告に絶対に必要な「たった1つの要素」=ベネフィット(得)とは

でも一応、僕もマーケッターなのでね。添削の練習もかねて、そのハガキを読んでみました。
入会のご案内 (挨拶など中略) さぁ、会費を払ってください!
僕「……いや、誰が払うか!(笑)」
これ、まず何が問題か分かりますか? このハガキ……完全に広告で伝えなきゃいけない『重要なポイント』がまったく書かれていないんですね。
その重要なポイントとは、「それが私の何の得になるの?」ということを伝えること。 マーケティング用語で言うと、いわゆる『ベネフィット(利点・恩恵)』と言われるやつです。要するに、商品やサービスを買ったあとに得られる結果や未来のことですね。
あなたもそうだと思いますし、僕もそうですが……お客さんは「自分の得になること」にしか興味はありません。
そして、得になることがないのなら、わざわざ広告を読まないし、それに反応することもありません。
今回、僕に届いたハガキは「あなた、以前うちから祭りに参加したでしょ? 現在会員を募集しています。さぁ、会費を払って加入してください」という、発信者側の都合だけでした。
いや、そんなこと言われても知らんわ! こっちからすると自分のことしか書かれていないし、もし会員になったらどんな良いことがあるのか? ということについて何も書かれていないので、「いや、知らんわ!」って話なんです。
広告に、自分(書き手)のことだけつらつらと書かれていたって、仮に読んだとしても誰も買わないのです。(こういう広告、よくありますよね)
人に影響を与え、好かれるための不変のルール(まず相手の得を語れ)

多くの人は、自分ではそうは思っていないのかもしれませんが……人は、誰も他人のことなんて興味がないのです。
なのであなたは、ビジネスでは常にそのことを意識して、自分のことは置いておき、まず「相手のこと」を考えるようにしてください。これは、広告だけでなく、営業や、人との接し方(恋愛も)でもまったく同じです。 (※詳しくはデール・カーネギーの名著『人を動かす』を読んでみてください)
うまい営業や人に好かれる人は、必ず相手の話をします。自分の話はほとんどしません。 常に相手のことを聞き、相手が喜ぶことをするのです。
なので、あなたも広告や営業をする際には、必ず「あなたの商品を使ったら、どんな未来が待っているのか? どんな得があるのか?」といったベネフィットを、きっちりと伝えてあげるようにしましょう。
コピーライティングの最強の教材『通販生活』

では、実際にその「相手の得(ベネフィット)」を的確に伝えるには、どう書けばいいのでしょうか。
実は以前、「ベネフィットの伝え方を学ぶのに、これ以上ない最高の教材がある」と聞いて、僕が必死になって探し回ったものがあります。
「ない……ない……」「ここにもない……」 「コンビニや本屋さんにあるって話だったのに……どこに行ってもなーい!」
そんな感じで、あちこち探し回って、いつも利用している本屋さんの女性誌コーナーの辺りでしれっと置いてあるのをやっと見つけました。(そりゃ分かんないわ 笑)
僕がそこまで必死になって探し求めていたもの。それがカタログ雑誌の『通販生活』です。
通販生活は、本当にベネフィット(利点・恩恵)の書き方が上手いです。 というのも、カタログですから中身はほとんどが写真です。なので、スペースが限られていて文章は多く書けません。
だからこそ、その商品がどう役に立つのか? など、本当に伝えないといけないことを短くコンパクトに伝えているんです。 もう、見出しを見ただけで、その商品にどんなベネフィットがあるのかが、しっかりと伝わってくるようになっています。
お客さんの心を動かし、商品を爆発的に売るためには、通販生活のように「お客さんの得(未来)」だけを研ぎ澄ませて語るスキルが絶対に欠かせません。
売り手の「推し」と、買い手の「欲求」の強烈なズレ

では、この『通販生活』のように、自社の商品からお客さんに刺さるベネフィットを抜き出すにはどうすればいいのでしょうか?
多くの経営者は「うちの商品はこんなに機能が優れているのに、なぜか売れない……」「商品の良さをアピールすればするほど、お客さんの反応が薄くなる……」と悩みがちですが、それはお客さんが商品を買う「本当の理由」を盛大に勘違いしているからです。
その「売り手と買い手のズレ」がいかに起きているかについて、先日僕がふらっと立ち寄ったスーツ屋さんで体験した出来事をお話ししましょう。
少し前の話になりますが、たまたまスーツの半額クーポンを手に入れたので、「そろそろ新しいスーツでも買おうかな」とお店に行きました。いろいろな商品を見せてもらっている中で、ある1つのスーツに目が留まりました。
店員さんは、「このスーツの概念が覆るくらい『軽い』ので、ぜひ着てみてください!」と、とにかくその軽さを猛烈にプッシュしてきます。
たしかに試着してみると、スーツとは思えないほど軽く、素晴らしい機能でした。 しかし、僕が「これ、買います!」と値段も見ずに即決した理由は、軽さなんてどうでもよくなるほどの『別の理由』があったからです。
それは、そのスーツが「ものすごく伸縮性のあるストレッチ素材」で作られていたことでした。
僕は筋トレを習慣にしており、太ったり痩せたりを繰り返して筋肉を増やしていくため、身体のサイズが1年の間にコロコロ変わってしまいます。 そんな僕にとって、「伸縮性があって体型が変わっても着続けられる」というのは、軽さなんかよりも遥かに強烈で、喉から手が出るほど欲しい価値だったのです。
マーケティングの必須スキル「FAB分析」とは?

この僕の買い物体験に、売れるマーケティングの極めて重要な構造が隠されています。
売れない経営者ほど、商品の「機能や特徴」ばかりを広告で声高に叫びます。スーツで言えば「業界最軽量!」や「よく伸びます!」という言葉です。 しかし、お客さんはそんな機能には1円も払いません。お客さんがお金を払うのは、「その機能によって、私の個人的な悩みがどう解決されるのか?(=ベネフィット)」に対してのみです。
この「機能」を「ベネフィット」へと論理的に変換し、売れる言葉を導き出すためのフレームワークが『FAB(ファブ)分析』です。
FAB分析は、以下の3つの要素の頭文字をとったものです。
1. F:Feature(特徴・機能) 「それは何か?(What is…)」 商品のスペック、素材、機能、メソッドそのものです。 (例:業界最軽量、ストレッチ素材を使用) ※マーケティングが下手な企業は、ここで思考を止めて広告を出してしまいます。
2. A:Advantage(効果・効能) 「それは何をしてくれるのか?(What does…)」 特徴がもたらす一般的な効果やメリットです。 (例:着ていても疲れない、太ってもキツくならないし破れにくい) ※少しマーケティングを学んだ人でも、この「アドバンテージ」をベネフィットだと勘違いして止まっているケースが非常に多いです。
「自動で帳簿が作れます(A)」や「太ってもキツくなりません(A)」という『効果』のレベルで広告を出してしまうと、結局はライバル企業も同じことを言えるため、「じゃあ、安い方でいいや」と泥沼の価格競争に巻き込まれてしまいます。価格競争を抜け出すには、絶対に「B(ベネフィット)」まで深掘りしなければいけません。
3. B:Benefit(便益・恩恵) 「その結果、相手のどんな痛みが消えるのか?(What means / Satisfy…)」 アドバンテージを得た結果として、お客さんが個人的に体験する素晴らしい未来や、解消される深い悩みです。
【具体例】FAB分析で「売れる言葉」を作るケーススタディ

では、実際にFAB分析のフレームワークを使って、商品の特徴をベネフィットに変換してみましょう。モノ(アパレル)と無形サービスの2つの具体例で解剖します。
事例1:スーツ(モノ)の場合
まずは、僕が値段も見ずに即決したスーツの事例です。
- 【F:特徴】 伸縮性の高いストレッチ素材である。
- 【A:効果】 たとえ太ったとしてもキツくならないし、破れにくい。
- 【B:ベネフィット】 (筋トレで体型が変化しまくる僕にとって)筋肉がつくたびにスーツが合わなくなったと悩むストレスがなくなり、買い直す無駄な出費も抑えられる。
「よく伸びる素材です(F)」と言われるのと、「筋肉がついても買い直す無駄な出費がなくなりますよ(B)」と言われるのとでは、メッセージの刺さり方がまったく違いますよね。
事例2:税理士・コンサルタント(無形サービス)の場合
ここまで読んで、「うちは形のあるモノじゃないから、特徴(F)なんてないよ」と思ったサービス業の方もいるかもしれません。しかし、目に見えないサービスもまったく同じように変換できます。 たとえば、「クラウド会計ソフトの導入支援」をしている税理士の場合。
- 【F:特徴】 銀行口座やクレジットカードと連携し、自動で帳簿付けができる。
- 【A:効果】 手入力の手間が省け、経理作業の時間が月10時間削減できる。
- 【B:ベネフィット】 (現場に出ている忙しい社長にとって)毎月月末に領収書の山と格闘するイライラから解放され、週末に家族とゆっくり夕食を食べる時間や、本業の売上をあげるための戦略を練る時間が生まれる。
いかがでしょうか。 「自動で帳簿が作れますよ(A)」で止まってしまう人が多いですが、社長が本当にお金を払いたいのは、「月末のイライラからの解放」や「家族との時間(B)」なのです。
まとめ:ターゲットが決まらなければベネフィットは生まれない

FAB分析を使ってベネフィットを導き出す際に、絶対に忘れてはいけない不変のルールがあります。
- お客さんは商品の「特徴(F)」や「効果(A)」には興味がない。
- モノでも無形サービスでも、買う理由は「個人的な痛みが消える恩恵(B)」である。
- ターゲットを誰か1人に絞り込まなければ、ベネフィット(B)は絶対に生まれない。

先ほどのスーツの「伸縮性」という特徴(F)も、外回りの営業マンがターゲットになれば、「夕方になっても疲労が溜まらず、商談に集中できる」というまったく別のベネフィット(B)に変化します。
「誰にでも役立ちますよ」と広く浅くアピールしているうちは、誰の心にも刺さりません。 広告の文章を書く前に、まずはこの『FAB分析』を使って、「誰の、どんな個人的な痛みを解決するものなのか」をじっくりと言語化してみてください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. ちなみに、そのスーツ屋の店長さんはクロスセル(関連商品の提案)がものすごく上手で、「股の部分を破れにくくする補強」などを嫌味なく自然に提案してくれたため、僕はポンポンと追加で買ってしまいました。
しかしお会計のとき、店長さんがスーツを「半額」にするのをすっかり忘れて電卓を叩いたため、とんでもない金額が表示され、僕は冷や汗が止まりませんでした(笑)。 無事に事なきを得ましたが、あのセールス力は本物でしたね。
P.P.S. 本文でお伝えした通り、商品が飛ぶように売れるかどうかは「機能」ではなく、ターゲットの痛みに刺さる「ベネフィット」を言語化できているかどうかで決まります。
しかし、「FAB分析の理屈は分かったけれど、自分の商品の本当のベネフィットが何なのか導き出せない」「ターゲットを絞り込めと言われても、客数が減りそうで怖い」と手が止まってしまう経営者が非常に多いのも事実です。 それは、経営者自身が商品の「作り手(売り手)」の視点に浸かりきり、客観的な市場の視点を失ってしまっているからです。
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誰にも響かない広告に無駄なお金を垂れ流してしまう前に、まずは自社のメッセージがFAB分析の「B(ベネフィット)」まで到達できているか、客観的にチェックしてみてください。
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