From: 西田貴大
むか~しむかし、僕がまだマーケティングコンサルタントを始めたばかりの頃……。 僕は「学ぶならその分野のトップクラスから」という信条を持っていて(今もですが)、毎回、東京まで学びに行っていました。
しかし、さすがに毎回の移動時間や疲れ、交通費、宿泊費なども大変だなと思い(尋常じゃないほどストレスになるくらい東京が苦手なのもあって)、「何か地元(香川)でも受けられる良いビジネスセミナーは無いか?」と、試しに地元の“とある経済団体”に聞きに行くことにしました。
今回は、そこで遭遇した「絶対にやってはいけないセールス」の一部始終をお話しします。 笑い話のように聞こえるかもしれませんが、もしあなたの会社でこれと同じことが起きていたら……背筋が凍りますよ。
1度目の悲劇:「お客さんのため」を装った最悪のセールス先延ばし

その経済団体に行き、受付で話を聞くなり奥の部屋に通され、「ここでお待ちください」と。 しばらく待っていると、担当者の男性がやってきました。
その方は、いきなり名刺を出されました。僕も念のために予備として1枚だけ持っておいた名刺を渡したところ……
担当者:「えっ? セミナーを『されたい』ということですか?」 (まぁ、コンサルタントが「セミナーの話がしたい」と来たら、普通はそう思いますよね 笑)
僕:「いえ、受けたいんです」
今まで東京ばっかりだったので、近くで受けられるところを探しているという事情を説明しました。
担当者:「直近でやるやつはもう満席ですね。ただ、次回となると……だいぶ期間が空くので、その時にこちらから連絡しましょうか?」
僕:「あっ、じゃあお願いします」
担当者:「ただ、ちょっと会員になっていただく必要があるんですよねぇ……」
僕:「いいですよ、全然! あそこの用紙に書けばいいんですかね?」
と、僕は入会する気満々で、申し込み用紙が置いてある棚を指差しました。 すると、担当者から信じられない言葉が返ってきたのです。
担当者:「いや、今入るとだいぶ時間が空いてお金がもったいないので、直前に入った方が良いですよ! 直前になったら、私の方から入会のご連絡をさせていただきます」
僕:「あっ、そうですか……じゃあ直前に入会するようにします」
あなたは、この対応の「異常さ」に気づきましたか?
一見すると、彼は僕(お客さん)が損をしないように、親切な行動を取ってくれているように見えます。それは素晴らしいことです。
ですが、マーケティングやセールスの世界には、こんな格言があります。 『セールスの遅れは死』
この時、僕は「確実に申し込む気(買う気)」でした。 でも、彼はそれを「先延ばし」にしてしまったのです。
例えば、あなたもこんな経験はありませんか? 商品を買おうとお店に行ったのに、「入荷待ちです」と言われたり、買うまでの手続きが長すぎたりして、待っている間に「やっぱりもういいや」と熱が冷めてしまったことが。
これなんですよ!『セールスの遅れは死』というのは。 買う気満々のお客さんを逃すことは、ビジネスにおいて「死」を意味します。
しかも、その後の彼からの連絡は……。 僕は結構長い間入る気満々でしたが、それから何年も経っているのに、いまだに何の連絡もありません(怒)。
これは先延ばし以前の問題です。自分が営業した相手を忘れているんですから。 もし、あなたの会社の営業マンがこれをやっていたら、激怒しますよね?
ところが……この話、ここでは終わりません(笑)。
2度目の悲劇:担当者なのにクロージング(決裁)できない機会損失

実は、それから数ヶ月後に、別の要件でまたその経済団体に行っているんです。 その時は、そこの会員さんに喜んでもらえるような「提携」を持ちかけて行きました。
すると、別の担当者さんがやってきて、こう言いました。 「まず、その会員さんに提供するものの見本を見せて欲しい。〇日までに見本を作って持ってこれますか?」と。
かなりハードなスケジュールを要求されましたが、僕は「やってやるわい!」と納期よりはるか前に仕上げて、ドヤ顔で持って行ってやったんですよ(笑)。 すると、担当者に言われた言葉は……
担当者:「じゃあ、これを見させていただいて、上司と相談した後、結果は〇日に連絡いたします」 (いや、お前が担当なんとちゃうんかい! 担当者やったら自分で決めんかい!!)
そして帰り際、「提携するなら入会してもらう必要があるから、結果をお伝えする時に入会の案内もする」と言われました。
その後……ご想像の通り、いまだに連絡はありませ~ん(笑)。
まぁ、交渉事ですから、ダメだったら連絡がないこともあるかな、と思いますよね。 僕も「おのれ、1度ならず2度までもか!」とかなり腹が立っていたので、こちらからは一切連絡しませんでした。
しかし、この話……まだ終わりません(笑)。
3度目の悲劇:僕はニワトリと話をしていたのか?(怒)

実は、縁あってそれから1年後くらいに、もう一回絡むことになるんですね。
で、行ったついでに「地元の企業の役に立ちたいので、何か会員さんに宣伝できる方法はないか?」って聞いてみたんです。 すると、「前例がない」とか色々と言われながらも、交渉の末に見事! 話が通ったんですよ。
そして、翌日……担当者から連絡がありました。 それはなんと、一番最初の話で僕がセミナーを受けたいとその経済団体に行ったときの「あの」担当者でした。
正直、「またこの人か……」と思いましたが、ここで怒ると話が台無しになるので、我慢して話を進めました。 すると、信じられない言葉が飛び出します。
担当者:「こちらでお調べしたところ、西田さんは会員になられていないようなので、入会をしていただけるようなら4月に宣伝をしてもOKですよ!」
(いや、入ってへんのは全部あんたらのミスやろがい!!!)
自分たちのミスを端から無かったことにしてのたまう態度に、怒りが湧き上がりましたが、僕はグッとこらえて言いました。
僕:「分かりました。入りますよ」 (こっちは最初から入る気満々やねん!)
すると、彼はこう言ったのです。
担当者:「では、まだ時間がありますので、4月前に連絡させていただきますね」
……ガチャッ。 その後は、もうあなたのご想像通り(笑)。 いまだになんの連絡もありません。
もう、ここまでくると呆れてものも言えません。 これがいわゆる「お役所仕事」ってやつなんでしょうか? それとも僕は、人ではなくニワトリと話をしていたのでしょうか?(ブラックジョーク失礼しました)
買う気満々のお客さんを「放置」してはいけない

以上、僕と“とある経済団体”とのトラブルの数々、楽しんでいただけましたでしょうか?
聞いている分にはそこそこ笑える話かもしれませんが、もし自分の会社でこういったことが行われているとしたら……ゾッとしませんか?
買う気満々のお客さんに「後で連絡する」と言って、そのまま忘れてしまう営業マン。ありえないですよね? もうクビ候補です。
でも、この話の1番の問題は「買う気満々のお客さんを忘れた」ということではなく、先ほども言ったように、その前の段階の「買う気満々のお客さんにその場で売らずに、先延ばし(放置)した」というところなのです。
伝説のセールスマン・ジョー・ジラードの言葉
車を世界一売ったとしてギネス記録にも載っている伝説の営業マン、ジョー・ジラードの言葉を借りるなら、こうです。
『店に来た時点でお客さんは買う気』 そして、 『「商品の説明をしに来てくれ」と言ってきた時点で買う気』 (※「とりあえず資料だけ送ってくれ」は違いますよ。あれは断る言い訳です)
だったら、その時点できちんと売ってあげる(クロージングする)というのが、本当の意味でお客さんのためになる行動です。そう思いませんか?
『セールスの遅れは死』を防ぐ営業マネジメントの原理原則

「申込用紙が何日に届くと思うんで、それに記入してもらって……」
「内容を上司と相談して、また来ます……」
これはダメなセールスの典型例です。「もうアホか!」と言いたくなりますが、実はこれ、営業マン個人の問題ではありません。
営業マンに「その場で決裁する権限」を与えず、いちいち上司の確認を取らせる「ビジネスの構造(ルール)」そのものが、機会損失を生み出しているのです。
こんな悲劇があなたの会社で起きないように、あなたが経営者としてやるべきマネジメントがあります。
それは、商談では「どこまでの決裁(サービス)が許されて、どこからがダメなのか?」という境目をきちんと決めて、営業マンに伝えておくことです。 そして、お客さんがクロージングの段階まで来ているのなら、「絶対にその場で決めさせる(先延ばしにさせない)」というルールを徹底すること。
この点にしっかり注意をして、営業マンをマネジメントしておきましょう。 なんたって、『セールスの遅れは死』に至るのですから……。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. 機会損失を生み出さないための「仕組み」
最後にもう一つだけ、経営者のあなたに重要な事実をお伝えします。
今回の経済団体の話は笑い話のようですが、実は多くの企業で似たような「構造的な欠陥」が起きています。 営業マンの個人の記憶力や気合いに依存し、その場で確実にクロージングできる「ルールと導線」がない状態は、穴の空いたバケツで必死に水をすくっているようなものです。
「ウチの営業マンは真面目なはずなのに、なぜか売上があがらない」
「見込みのお客さんは集まっているのに、成約に結びついていない気がする」
もしそう感じているなら、それは営業マンのモチベーションの問題ではなく、あなたのビジネスの「構造(マーケティングとセールスの仕組み)」のどこかが致命的な目詰まりを起こしている可能性が高いです。
気合いや個人の能力に依存する脆いビジネスから抜け出し、確実に売上をあげる強固な仕組みを作る第一歩として、まずはご自身のビジネスの「見えないブレーキ」の正体を確認してみてください。
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