From:西田貴大
最近、背中をケガしてしまいまして……。 全治3週間と診断され、習慣であるトレーニングも泣く泣く休むことになりました(泣)
なので、ベッドで安静にしながら日曜の朝にテレビ番組の『がっちりマンデー』を見ていたときのことです。そこで紹介されていた、消臭剤でおなじみの『エステー』の事例が、マーケティングの不変の原理原則を見事に突いていたのでシェアしたいと思います。
値上げしたのに過去最高益になった理由

番組では、エステーが商品の単価(価格)を上げたにもかかわらず、販売個数が爆発的に増え、過去最高益になったという事例が紹介されていました。
単価があがって、さらに数も売れる。経営者としてはもう最高の状態ですよね。
では、エステーはこの過去最高益を達成するために、いったいどのような画期的な手法をとったのでしょうか? 答えは非常にシンプルで、ただ『デザインを変えた』だけです。
「なーんだ、そんなことか」とガッカリしましたか? しかし、ここにはスモールビジネスの経営者が絶対に知っておくべき、非常に重要なマーケティングの構造が隠されているのです。
社内を真っ二つにした「無駄な飾り」論争

時をさかのぼること数年前、エステーに新しく女性社長が就任しました。
それまでのエステーの商品は、現在の社長の叔父が経営していたこともあり、文字がドーン!と大きくスポーツ新聞のようにプリントされた「男性目線(機能重視)」のデザインでした。商品が何であるかは分かりやすいものの、主婦にとっては買うのに少し抵抗を感じる見た目だったのです。
そこに目を付けた新社長は、商品のデザインを一新し、次々と「女性目線のかわいらしいデザイン」に変えていきました。
その中でも、社内で一番揉めた商品があります。 社長は、ある消臭剤のデザインを一新した際、商品の上部に「カギの形をした飾り」をつけました。機能的にはまったく使い道のない、本当にただの飾りです。
すると、社内では男性社員と女性社員との間で「その飾りが必要か?不要か?」の大論争が起きました。
- 男性社員:「機能的にまったく意味がない。余計なコストがかかるから大反対!」
- 女性社員:「かわいいから絶対に必要!」
完全に、論理(機能)を重視する男性脳と、感情を重視する女性脳のぶつかり合いですね(笑)
機能を捨てて感情を取った結果……

揉めに揉めた論争でしたが、結果的に女性社員たちの意見が採用されました。
リニューアルされた商品は、飾りのコストが余計にかかったため、価格がそれまでよりも「120円」も高くなりました。 しかし結果はどうだったかというと、新しいデザインが女性に大ウケし、1ヶ月で100万個以上売れる大ヒット商品になったのです。
なぜ、無駄なコストをかけて値上げまでしたのに、これほど売れたのでしょうか?
それは、消臭剤という商品を「誰が買うのか」を徹底的に理解していたからです。 消臭剤を家に置いて『使う人(使用者)』は家族全員です。しかし、スーパーやドラッグストアの棚から商品を手に取り、買い物カゴに入れてレジでお金を払う『決定権を持っている人(購買者)』は、多くの場合、奥さん(女性)です。
男性社員が好む「消臭効果がわかりやすい機能的なデザイン」よりも、実際にお金を払う決裁者である女性が「部屋に置きたい、かわいい」と感情で惹かれるデザインにしたからこそ、価格が高くても選ばれたのです。
学習塾のチラシが陥っている致命的な罠

この「使う人(使用者)」と「お金を払う人(購買者・決裁者)」のズレに気づかず、莫大な広告費をドブに捨てているケースは世の中にたくさんあります。
(※これは法人向けのBtoBビジネスでも全く同じです。現場の社員(使用者)が「このシステム便利!」と思っても、最終的にお金を払う社長(決裁者)が「これで売上があがるのか?」と納得しなければ、商品は絶対に売れませんよね)
その典型例が、学習塾のチラシです。
ポストに入っている学習塾のチラシを見ると、よく子供に向けて「成績があがる!」「楽しく学べる!」といったコピーが書かれています。 しかし、よく考えてみてください。最終的に数十万円という高いお金を払う決裁者は誰でしょうか? 親御さんですよね。
百歩譲って「最終的に選ぶのは子供だから」という理屈だとしても、「新聞の折込チラシ」という媒体を見る子供が今の時代にいるでしょうか?(子供は新聞なんて開きませんよね)
「使う人」と「お金を払う人」をごちゃ混ぜにしてしまうと、伝えるべきメッセージも、広告を出す媒体も、エステーの男性社員のように見当違いな方向へ向かってしまうのです。
まとめ:あなたのビジネスの「決裁者」は誰か?

エステーの事例は、マーケティングにおける最重要事項を僕たちに教えてくれます。 それは、ターゲット(お金を払ってくれる相手)の解像度を極限まで高め、その人の感情を理解することです。
ビジネスでは、商品を使う『使用者(ユーザー)』と、お金を払う『決裁者(バイヤー)』が別人物になることが多々あります。この2つをごちゃ混ぜにして、使用者に向けてばかり一生懸命アピールしてしまうから、お金を出してくれる本当のターゲットにメッセージが届かないのです。
「本当に良い商品(機能)を作れば売れるはずだ」 これは、モノを作る側の傲慢な机上の空論です。
あなたの商品にお金を払う決定権を持っているのは、いったい誰でしょうか? その人は、機能と感情、どちらで動く人でしょうか?
ぜひ一度、ご自身のビジネスのターゲットを「お金を払う決裁者」という視点で見直してみてくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. 今回の「ターゲットのズレ」のように、ビジネスにはちょっとした見せ方や構造を変えるだけで、売上が爆発的にあがるポイントがいくつも存在します。
「良い商品を扱っているのに、なぜか売れない…」
「広告を出しても、まったく反応がない…」
もしあなたがそう感じているなら、それは商品が悪いのではなく、今回のような「メッセージを届ける相手(構造)」が根本的に間違っている可能性が高いです。
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いくつかの質問に直感で答えていただくだけで、今すぐ対処すべき「本当の課題」と、次に打つべき具体的な一手が見えてくるはずです。ターゲットのズレで大切なお金と時間を消耗し尽くしてしまう前に、まずはご自身のビジネスの現状を客観的に診断してみてください。
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