From:西田貴大
マーケティングの世界では、耳にタコができるほど「顧客目線が大事だ」と言われます。 しかし、その言葉を立派に掲げながらも、実際にはお客さんを置き去りにして「自分たちの都合」でビジネスを動かしてしまっているケースがあまりにも多いのが現実です。
今回は、僕が実際に体験した「誰もが知る大企業」と「サーキット」での、笑えるけれど笑えない不親切な事例をシェアします。
あのSONYに失望した日。顧客目線を忘れた大企業の暴挙と僕の奮闘記

実はこの間、少し時間があったときに、「最近聴いていない曲や音声教材もあるから、久しぶりにウォークマンの楽曲の入れ替えでもするか!」と思い立ちました。 そこで、バックアップデータが入ったハードディスクを引っ張り出してきて、パソコンにつないだのですが……そこで、どえらいことに気づきました。
「ウォークマンの楽曲が移行できない!!?」
これまでウォークマンの楽曲を管理していた「x-アプリ」というソフトウェアが、どこにもないのです。ずっと知らずに使っていたのですが、なんとx-アプリは2018年に配布を終了していました。
で、その後継として現在使われているのが「Music Center for PC」というアプリケーションなのですが……この後継ツール、全く前のツールと連動していません。
インストールして使ってみたところ、x-アプリのバックアップデータが使えない。「そんなことある!?後継ツールだよね??おい!どうしたSONY?」と疑問が湧きましたが、考えていても仕方がないので、ウォークマン内部に入っている旧バージョンのx-アプリをインストールして復元することにしました。
ところが……「新しいバージョンのデータは、旧バージョンでは復元できない」というよくわからないルールがあり、復元が不可能。
じゃあアップデートしたらええんやろがい!と試みるも、すでに配布が終了しているためデータすらサーバー上に残っておらず、7,000曲以上(音声教材も入れたらウン百万かかってます)が完全に行き場を失いました。
「おいコラ!SONY!なにしてくれとんねん!!」と、昔の僕なら完全にキレていたでしょう(笑)。でも、ここ数年で成長したのか、すぐに別の解決策を探す柔軟性が今の僕にはありました。
海外サイトでの絶望と、消えた200曲の謎
ネットで調べまくり、海外のサイトで色んなアプリを保存しているところを発見。そこにx-アプリの最終バージョンが残されており、自己責任でダウンロードできることが分かりました。
早速ダウンロードしようとしたのですが……遅っせぇ……(笑)。 ページすら開けない上に、やっとつながってもダウンロードがエラーになる始末(苦笑)。
それでもなんとか別の親切なサイトを見つけ出し、前のパソコンからデータを抽出し、あらゆる手を尽くして、ようやく新しいパソコンにすべての音楽データを復活させることに成功しました。「よっしゃできたぁぁー!!!」と歓喜し、いざ新しいMusic Center for PCへの移行作業を終えて確認してみると……。
「……あれ? 200曲足りん(どこ行った?)」
なぜか200曲消えていて、アーティスト写真やアルバムのジャケット写真の大半が消され、曲の情報まで変更されていました。ったく、本当にどこまでも手間をかけさせる……(怒)。
ということで現在、7,000曲の中から失われた200曲を特定する作業を、1日10分くらいコツコツとチマチマやっています(苦笑)。
サーキットでの絶望。「車を持っていない少年」の悲劇

もうひとつ、僕がまだ車の免許を持っていなかった頃の、忘れられない体験をお話しします。
隣の岡山県にある岡山国際サーキットにレース(当時の全日本GT選手権)を見に行きたいと思い、公共交通機関でどうやって行けばいいのか、サーキットのホームページを調べました。
そして、ホームページを見た瞬間……僕は驚愕しました。 そこに書いてあった、レースを見に行きたい少年にとっての残酷な案内とは……
『〇〇駅を下車、駅より車で20分』
「いや、車に乗れへんから公共交通機関で行くんやけどぉ!!!」
……ちなみにこの話、僕がドリフトを始めたあとに仲良くなった「ドリフトのプロ(某D1ドライバー)」の方に話したところ、大爆笑していました(笑)。
でも、あなたはどうでしょうか? お客さんの立場で考えると、おそらくそんな面白い話ではないですよね。 サーキット側からすれば、「サーキットに来るやつは車が好きに決まっている」という思い込みがあったのでしょうが、車を持たない少年(当時の僕)にとっては、あまりにも顧客目線を無視した案内でした。
このサーキットの場合、顧客目線に立つとどうすべきだったのか?

もしこのサーキットの運営側が、ほんの少しでも『顧客目線』を持っていたら、どうなっていたでしょうか? 最低限、もし近くにレンタカーの会社があるなら、その降りた駅からの行き方なども一緒にホームページのアクセスのところに書くべきだったと思います。(まぁ当時の僕は免許を持っていませんでしたが……)
さらに顧客目線を深めるなら、遠方から来るお客さんに対して、近隣のホテルの場所や観光名所、飲食店の情報などを書いた案内を渡すようにしておけばどうでしょう?(だいたい大きなサーキットには宿泊施設が付いていますが)
そうすれば、お客さんはイベントが終わったあとに食事や宿泊施設を探すのに困ることが無くなります。ちょっとした気遣いが感動を生み、サーキットに対する印象も良くなり、次にイベントがあるときにも「また来よう」と思ってくれるはずです。(そういった施設と提携をすれば、追加で収益を生むこともできますしね)
ちなみに……この記事を書くにあたって、もう一度岡山国際サーキットのホームページを見たところ、現在は「駅よりタクシーで20分」になっていました(笑)。 が……ここでひとつ疑問が。
「タクシーで行ったら、帰りはどうすんのよ!」
サーキットにタクシーを呼ぶにしても、イベント終了後は大量の車が山を下りていくので、それが終わったあとでないとタクシーは山を登ってこれないですよね……(今となっては、いろんなサーキットに行った僕のイメージだと積載車1台がギリギリ通れるくらいの狭い山道のイメージなのですれ違えないです)。いや〜顧客目線って、なかなか難しいですね(苦笑)。
なぜSONYは、お客さんを無視して強制移行という暴挙に出たのか?

話をSONYに戻します。果たしてSONYはいったい何が目的で、新しいソフトしか使えないという強制的なアプリ移行の暴挙をやったのでしょうか?
おそらく社内の事情があったのでしょう。 当時、ウォークマンやゲーム機などそれぞれのSONY製品で使えるツールが複数存在していたので、それを一つにまとめてコストを下げたかった。あるいは単にこれまでのツールに飽きた。社内の派閥争い。はたまた、古いウォークマンを使われるのは困るから、新しいウォークマンを買わせるために仕組んだ……。
どんな理由だったにせよ、これらに共通するビジネス上の問題があります。 それは、意思決定のプロセスに「お客さんがいないこと」です。
推測のどれもが、自分たちの勝手な事情(企業側の論理)ですよね? 仮に、もしこの強制移行が本当にお客さんのために行われたのであれば、「既存のユーザーがスムーズに移行できない」という致命的な問題が起きるはずがありません。
お客さんありきで考えないビジネスは崩壊する。商品が売れない本当の理由

ソニーの強引なアプリ移行も、サーキットの不親切なアクセス案内も、根底にある問題は全く同じです。
「大企業や田舎のサーキットだから、そんなアホなミスをするんだ」と他人事で笑ってはいられません。僕たちのようなスモールビジネスの現場であっても、「お客さんが専門用語を知らないことを忘れて、自分たちの言葉でドヤ顔で説明してしまう」「売りたい(利益率が良い)からという理由で、お客さんの悩みに合わない商品を強引に勧めてしまう」といった見えない顧客無視は、毎日あちこちで起きています。
「顧客目線になって考える」と口で言うのは簡単ですが、いざ日々の業務に追われると、僕たちはどうしても「自分たちの都合」でお客さんを置き去りにしてしまいがちです。(自分への戒めも込めて言いますが、僕もよくやってしまいます)
結局、マーケティングってこれなんですよ。 「お客さんありきで、物事を考えないといけない」
実際に買って、使ってくれるのはお客さんです。だから、すべてはお客さんから始まらないといけないんです。 多くの企業で商品が売れない一番大きな理由は、お客さんのことを見ていないから。自分たちが勝手に「良い商品だ」と思っていたところで、お客さんから見ても良い商品だとは限りません。だから売れないし、大量の不満が出るのです。
この「自分たちの都合を押し付けてしまう」という罠に陥らないように、定期的に自社のサービスを客観的に受けてみたり、マーケティングリサーチでお客さんの声を聴くということを定期的にやっていきましょう。
逆に、この「顧客目線」という絶対的な原理原則さえ見失わなければ、あなたのビジネスは安泰ですからね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. あなたのビジネスから「顧客目線」が消えていませんか?
「良い商品を作っているはずなのに、なぜか売れない」 「一生懸命に案内しているのに、お客さんからの反応が薄い」
もしあなたが今、そんな課題を感じているなら、それは集客のテクニックが足りないのではなく、ビジネスのプロセスの中に「お客さんを置き去りにしている部分(企業側の論理)」が隠れている証拠です。
お客さんの生々しい感情や行動プロセスを見落としたまま、いくら広告費をかけても、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。
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