From:西田貴大(香川県のマーケティングコンサルタント)
数年前、キャッシュレス決済の『PayPay』がリリースされたとき、「100億円あげちゃうキャンペーン」という異常なバラマキ(残高付与)を行って日本中で大ニュースになったのを覚えていますか?
当時は「いくらなんでもやりすぎだ」「赤字で潰れるんじゃないか」と批判する声もありましたが、結果はどうでしょう。 現在、PayPayは日本のキャッシュレス決済で圧倒的なシェアを握り、私たちの生活に欠かせないインフラになりました。
この圧倒的な勝負の裏側にあるもの。 今回は、ソフトバンクの孫正義さんが仕掛ける「絶対に勝てるマーケティング戦略(ビジネスモデルの構造)」についてお話しします。
ダン・ケネディの言う「だからオファーなんだよバカ!」の体現

今回のPayPayのマーケティング戦略を見て僕が真っ先に思ったのは、「孫さんのマーケティングは、やっぱりオファー(提案)が異常に強いな」ということでした。
手数料がすべて無料というだけでなく、使うだけで現金(残高)をプレゼントする。 あれだけお客さんにとってメリットしかない強いオファーを出せば、そりゃあものすごい勢いで利用者を独占できますよね。
億万長者メーカーと呼ばれる伝説のマーケッター、ダン・ケネディの「だからオファーなんだよバカ!」という有名な言葉がありますが、まさにそれが正しいことがよくわかります。
ソフトバンクのマーケティングは「フロントエンド無料」が大好き

そしてもう一つ思うのが、「孫さんは相変わらず、フロントエンド(集客商品)を『無料』にするのが好きだなぁ」ということです。
というのも、孫さんは昔からこの「無料戦略(フリー戦略)」で会社を巨大化させてきました。
① 喫茶店のコーヒー無料券
孫さんが最初にこのマーケティング戦略を使ったのは、なんと子供の頃。お父さんが経営する喫茶店を繁盛させるために、人が集まるところで「コーヒー無料券」を配りまくり、立地が悪いにもかかわらずお店を大繁盛店に変えました。
② Yahoo! BBのモデム無料配布
次にこの戦略を使った有名な事例が、インターネット黎明期の「Yahoo! BBのモデム無料配布」です。 駅前や街頭で、ADSLのモデムをタダで配りまくっている光景を見たことがある人も多いはずです。あれで一気に日本のネット回線のシェアを奪い取りました。
なぜ無料で配りまくっても会社が潰れないのか?

もちろん、物理的な機械を無料で配りまくるわけですから、会社は一時的に大赤字になります。普通なら「いつ潰れてもおかしくない」という恐ろしい状況です。
でも、孫さんはマーケティングにおける『ライフタイムバリュー(LTV:顧客生涯価値)』という概念を完全に理解していました。
LTVとは、「一人の顧客が、一生涯(取引を終えるまで)に、自社にいくらの利益をもたらしてくれるか?」という指標です。
孫さんは、「最初はモデム代で数万円の赤字が出ても、そのまま使い続けて毎月通信料を払ってもらえれば、〇ヶ月後には必ず黒字に転換する」という計算(構造)が完璧に見えていたのです。 だからこそ、赤字の期間を平然と耐えきり、ソフトバンクを巨大企業へと成長させることができました。
パレートの法則(80:20)を使った「通話料無料」のカラクリ

さらにその後、携帯電話事業(ソフトバンクモバイル)に参入したときも、後発ながら「通話料無料(ホワイトプラン)」という強烈なオファーで一気にシェアを拡大していきました。
しかし、この「通話料無料」というアプローチにも、ちゃんと利益を得るカラクリがありました。 実は、通話料が無料だったのは「ほとんどの時間」であり、「一部の時間帯(夜の21時〜深夜1時など)」だけは通話料が有料になるように設定されていたのです。
そして、この有料になる時間帯こそが、人々が最も多く電話をかける時間帯だったのです。
これはマーケティングでよく使われる「パレートの法則(売上の80%は、20%の原因から来る)」そのものです。 「1日のうちの80%の時間」を無料にして強いオファー(フロントエンド)でお客さんを集め、一番使われる「残りの20%の時間(バックエンド)」でしっかり80%の利益を回収する。
ただ単に「無料」で集客するだけではなく、先のことまでしっかりと計算された、素晴らしいビジネスモデル(構造)ですね。
スモールビジネスがフリー戦略を使うための唯一の条件

ここまで読んで、「孫さんだから(大企業で無限に資金があるから)できるんでしょ。うちみたいな小さな会社が無料なんてやったら一瞬で倒産するよ」と思ったかもしれません。
たしかに、資金力のない中小企業が、何も考えずに「無料」や「値引き」をするのはただの自殺行為です。 しかし、スモールビジネスでもフリー戦略を使うことは可能です。その唯一の条件が、「自社のLTV(バックエンドの利益)を正確に把握すること」です。
- フロントエンド(集客商品): お試し価格や無料で、見込み客を大量に集める。
- バックエンド(収益商品): 集まったお客さんに、本当に売りたい高単価な本命商品を売って利益を出す。
【具体例】スモールビジネスが今すぐ使える「無料(フロントエンド)」の作り方
「うちはモデムも配れないし(今配っても意味ないが…)、現金も配れない」という方のために、スモールビジネスですぐに使えるフロントエンドの例をいくつかあげておきます。
- コンサルタント・士業: 「自社の課題が客観的にわかる無料診断」や、低価格の「解説動画(録画)」などを提供し、見込み客の連絡先(リスト)を集める。
- 店舗ビジネス(飲食店・サロン): 「初回お試し500円」や「赤字覚悟の目玉商品(ロスリーダー)」を用意して、まずは一度来店してもらい、お店の良さを体感してもらう。
- 教室・スクール業: 「会員限定の無料オンライン講座(動画)」や、既存のクラスに混ざれる「無料体験レッスン」を実施し、ハードルを極限まで下げて中に入ってもらう。
このように、あなたの商品やサービスに合わせて「いかにお客さんの最初の一歩を軽くするか?」を考えてみてください。
「無料で配ったら、タダ働きにならない?」という不安への回答
ここまでお話しすると、「無料でサービスを提供したら、冷やかしばかり集まってタダ働きになりませんか?」という相談をよく受けます。
結論から言います。 スモールビジネスが無料戦略をやるときに、絶対に「自分の時間(労働力)」をタダで切り売りしてはいけません。
たとえば、あなたが整体師だとして、「初回全員無料(60分揉みほぐします)」なんてことをやれば、タダでマッサージを受けたいだけの人であふれかえり、あなたは一瞬で過労で倒れます。コンサルタントが「初回60分無料相談」をやるのも同じ理由でNGです。
そうではなく、無料で配るべきは「デジタルデータ(録画済みの動画)」や「診断テスト」のような、『一度作ってしまえば、100人に配っても1万人に配っても、あなたの労力とコストが1ミリも増えないもの』に限定するのです。
これなら、冷やかしの客がどれだけ混ざっていても、あなたの体力や時間は一切奪われません。その中から数人でも、本当に価値を感じてバックエンドを買ってくれる人が現れれば、ビジネスの構造として大成功なのです。
「この無料オファーで10人集めたら、そのうち1人が30万円のバックエンド商品を買ってくれる」という構造(LTVの計算)さえできていれば、フロントエンドで多少の赤字が出てもまったく怖くありません。
【※先生業の方向けの注意点】 ただし、コンサルタントやコーチなどの「先生業」の方がよくやる「無料のノウハウPDF」や「無料ウェビナー」を配る手法は、今の時代、情報をタダで欲しいだけの客(ノウハウコレクター)ばかりが集まるためお勧めしません。 無料で配るなら、自分の労働力(時間)を削らず、かつお客さん自身に「自分の課題」を気づかせるような仕組み(診断テストなど)にするのが鉄則です。
いくら配れば(いくら広告費を使えば)、これだけの利益が返ってくると分かっている状態。これほど安心なビジネスはありません。ビジネスはありません。
まとめ:あなたのビジネスに「黒字化の構造」はあるか?

今回のソフトバンクの戦略から学ぶべきことは、「大企業はすごいな」と感心することではありません。 あなたもソフトバンクをマネして、「フロントエンド(集客)」と「バックエンド(収益)」の仕組みを作り、確実に利益を増やしていけるビジネスモデル(構造)を構築しようということです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. 本文でもお伝えした通り、ビジネスの不安をなくす唯一の方法は、「これをやれば最終的にいくら儲かる」というLTV(顧客生涯価値)に基づいた強固な構造を作ることです。
しかし、多くの経営者はこの「フロントエンド」と「バックエンド」の切り分けができず、すべての商品を中途半端に売って、集客のたびに疲弊してしまっています。
現在、あなたのビジネスにこういった構造の欠陥(バックエンドの不在やオファーの弱さ)がないかを論理的にあぶり出す『マーケティング・ボトルネック診断』を無料で公開しています。
いくつかの質問に直感で答えていくだけで、あなたが今すぐ対処すべき「本当の課題」と、次に打つべき具体的な一手が見えてくるはずです。
利益の出ない集客活動で忙しく働き続ける労働地獄はもう終わりにして、お客さんが自然と集まり、バックエンドでしっかり利益が残る強固なビジネス構造を作っていきましょう。
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