From:西田貴大
最近、寝る前の少しの時間を使って、ある「小説(群像劇)」を夢中で読んでいます。(成田良悟さんという作家の作品なのですが、面白すぎてかなり寝不足です…笑)
なぜ、マーケティングのコンサルタントである僕が、ビジネス書ではなく小説を読み込んでいるのか?
それは、新しい語彙を増やすためでもありますが、最大の目的は「読み手の頭の中に『画(映像)』をイメージさせる文章の書き方を学ぶため」です。
実はこの「相手の頭に画をイメージさせる」というスキルは、広告のセールスライティングや営業において、成約率を根底から左右するほど強力な武器になります。
今回は、お客さんが思わず「買わせてください」と言ってしまう、行動心理学に基づいた最強の販売スキルについてお話しします。
なぜ、あなたの商品は売れないのか?

アメリカの著名な起業家であり、マーケッターでもあるエベン・ペーガンは、セールスについてこのように語っています。
『どれだけあなたの商品やアイディアが優れていても、具体的に使うイメージを、見込み客の頭の中に描くことができなければ、買ってくれる人はほとんどいない』
本当にその通りです。 多くの起業家が「この商品はこんな成分が入っていて…」「このサービスはサポートが充実していて…」と、機能や特徴ばかりを一生懸命に説明してしまいます。
しかし、お客さんは商品のスペックが欲しいわけではありません。 「その商品を手に入れた後、自分の人生がどう素晴らしく変化するのか?」という『未来(ベネフィット)』にお金を払うのです。
逆に言えば、その商品を使うといったいどうなるのか?という理想の未来を、相手の頭の中に鮮明にイメージさせてあげることさえできれば、商品は自然と売れていきます。
このように、見込み客の頭の中に未来をありありと思い描かせる手法を、心理学やマーケティングの用語で『フューチャーペーシング(未来へのペーシング)』と言います。
車が飛ぶように売れた「不思議な展示スペース」の秘密

では、具体的にどのようにしてお客さんに未来を見せてあげればいいのでしょうか?
文章で情景を描写する、写真やイラストで見せる、あるいはお客さんに実際に体験(試乗や試着など)してもらうなど、さまざまな方法があります。
ここで、営業の神様と呼ばれるブライアン・トレーシーが語った、フューチャーペーシングの非常に面白い事例をご紹介しましょう。
アメリカのとある自動車販売店に、「そこに車を展示すると、なぜかすぐに売れてしまう」という不思議な展示スペースがありました。
販売店の従業員たちは、みんなずっと不思議に思っていたのですが…あるとき、一人の営業マンがその展示スペースに置いてある車に、何気なく乗り込んでみました。
すると、運転席の目の前に広がる景色を見て、彼はすべてを理解しました。
そう、その展示スペースに置かれた車の目の前には、「大きな鏡」が置かれていたのです。
そこに展示していた車が飛ぶように売れていた理由。それは、お客さんが試しにその車に乗り込んだとき、鏡越しに「この素晴らしい車を運転している自分自身のカッコいい姿(理想の未来)」を明確に見せられていたからです。
これこそが、究極のフューチャーペーシングです。
大企業も駆使するフューチャーペーシングの威力

実はこの手法、私たちが普段目にしているテレビCMなどでも頻繁に使われています。
たとえば車のCM。 エンジンの性能を語るのではなく、運転手側の目線(カメラアングル)で助手席に綺麗な女優さんを乗せてドライブをしている映像を流したり、広々とした車内で家族が笑顔でキャンプに出かけている映像を流したりしますよね。あれはまさに、「この車を買えば、こんな未来が待っていますよ」とイメージさせているのです。
あるいは、経営難だったUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させた日本屈指のマーケッター、森岡毅さんが仕掛けたクリスマスイベントのCM。
世のお父さんに向けて、「娘が父親と一緒に無邪気に遊んでくれる期間は、実はとても短い」という事実を突きつけ、「いつか君が大きくなって、クリスマスの魔法が解けてしまうまでに、あと何回こんなふうに笑ってくれるかな」という強烈な未来(期限)をイメージさせました。 (このCMを見て、涙を流してUSJのチケットを買ったお父さんが続出したそうです)
それだけ、お客さんの頭の中に未来を見せる「フューチャーペーシング」という手法は、人の心を動かす強力な力を持っているのです。
【具体例】あなたのビジネスで未来を見せる方法

では、これをあなたのビジネス(広告や営業)に置き換えるとどうなるでしょうか? ただの「機能の説明」を、お客さんの頭に画が浮かぶ「フューチャーペーシング」に変換してみましょう。
- 【× ダメな例(機能)】 「このダイエットプログラムは、最新の栄養学に基づいており、効率よく脂肪を燃焼させます」
- 【〇 良い例(未来)】 「このプログラムが終わる3ヶ月後には、クローゼットの奥に眠っていた『あの頃のお気に入りの服』をもう一度着て、自信を持って同窓会に行けるようになりますよ」
- 【× ダメな例(機能)】 「弊社のシステムを導入すれば、業務の作業時間を1日2時間短縮できます」
- 【〇 良い例(未来)】 「このシステムを導入すれば、今まで残業で潰れていた夕方の2時間が空くので、毎日お子さんと一緒に温かい晩ごはんを食べられるようになりますよ」
いかがでしょうか。 お客さんは「脂肪燃焼」や「時間短縮」という機能が欲しいのではなく、「同窓会でチヤホヤされる未来」や「家族との時間という未来」を買うのです。
「売ることは、助けること」である

このように、お客さんに商品を買ったあとの「より良い未来」を見せてあげて、そこへ確実にたどり着けるように背中を押してあげること。それこそが、ビジネスを行うあなたの本当の役割です。
『金持ち父さん 貧乏父さん』で有名なロバート・キヨサキのアドバイザーであり、トップクラスのセールスコンサルタントであるブレア・シンガーは、こう言っています。
『売ることは、助けることだ』
売ることや、大きな金額を受け取ることに対して、無意識に罪悪感や抵抗を感じてしまう起業家は少なくありません。
しかし、もしあなたの持っている商品やサービスが、本当にお客さんの悩みを解決し、人生を良くする素晴らしいものだとしたら? それを売らない(オファーしない)ということは、お客さんが理想の未来へ行くチャンスを奪っているのと同じです。
なんたって「売ることは、助けること」なのですから、遠慮する必要は一切ありません。
フューチャーペーシングを使って、お客さんに商品を買ったあとの最高の未来をありありと見せてあげてください。そして、堂々と商品を販売することで、より多くの人を理想の未来へと連れて行ってあげてくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. 今回の記事では「お客さんに理想の未来をイメージさせる(フューチャーペーシング)」という非常に強力な手法をお伝えしました。
しかし、ここでマーケティングのプロとして、一つ大きな注意点をお伝えします。
それは、「そもそも、あなたのお客さんが『本当に望んでいる未来』がズレていたら、どれだけ綺麗な文章で未来をイメージさせても絶対に売れない」ということです。
ターゲット層が心の奥底で求めている本当の悩みや欲求(インサイト)と、あなたが提示する商品のオファー。この2つの「構造」がカチッと噛み合っていなければ、フューチャーペーシングはただの空回りに終わってしまいます。
もしあなたが「一生懸命に商品の良さや未来を伝えているのに、なぜか売れない…」と感じているなら、コピーライティングの腕が悪いのではなく、そもそものビジネスの土台(オファーの構造)にズレが生じている可能性が高いです。
現在、あなたのビジネスの隠れた課題(構造のズレ)を論理的にあぶり出す『マーケティング・ボトルネック診断』を無料で公開しています。
いくつかの質問に直感で答えていくだけで、あなたが今すぐ対処すべき「本当の課題」と、次に打つべき具体的な一手が見えてくるはずです。
売れない理由を文章力や小手先のテクニックのせいにするのはもう終わりにして、何もしなくてもスルスルと売れていく強固なビジネス構造を作っていきましょう。
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