From:西田貴大
先日、マーケティングの知識をさらに深めるため、ある有名な起業家の講演会に参加してきました。
しかし、開始直後に予想外の事件が起きました。なんと演出の都合で会場の照明が完全に消され、残った明かりは登壇者に当たるスポットライトのみになってしまったのです。
「マジか……これじゃ手元が真っ暗で、まったくノートが取れないやん……」
周りを見渡すと、メモ一つ取らずに「ただ話を聞いているだけ」の状態になっている人ばかりでした。しかし、僕はこの講演から「絶対に記事のネタを持ち帰る」と決めていたので、意地でもノートを取り続けることにしました。
自分が今、ノートのどこにペンを置いているのか。
真っ暗なので、それがまったくわかりません。自分の現在地がわからないということは、当然「次にどこへ文字を書けばいいのか」もわからないということです。
家に帰ってノートを開くと、そこには字が重なり合い、斜めに歪んだ「謎の暗号」が広がっていました。
(記憶と照らし合わせて、なんとなく解読できましたが……(笑))
実は、この「暗闇の中で現在地がわからず、次に進む方向もわからなくなる」という現象。
僕たちスモールビジネスの世界において、多くの経営者が陥っている状況とまったく同じなのです。
1.売上をあげる第一歩は「現状把握」から

いま現在、自分がいる場所が正確にわからないとしたら、目的地(目標)までどうやって行けばいいのか、計画の立てようがありませんよね。
ノートの例で言うと、「今、書いている場所」と「次に書く場所」が見えていない状態です。
これはビジネスでも完全に同じで、目標としている売上や状態に向かうために、一番最初にすべきことは「現状把握(現在地の確認)」なのです。
自社の商品力、資金、リソース、そしてお客さんが抱えている本当の悩み。これらを客観的に見つめ直し、今自分がどの地点に立っているのかを正確に割り出さなければ、次の一手は絶対に打てません。
2.多くの人が混同する「目的・目標・戦略・戦術」の違い

正確な現状把握ができたとき、次に進むべきは「目的」と「目標」の明確化です。
しかし、多くの経営者はここを飛ばして、いきなり「戦術(SNS集客など)」に飛びついて失敗します。
ここで一度、マーケティングにおける「4つの階層」を整理しておきましょう。
| 階層 | 定義 | 本質的な問い |
| 目的 | 最終的な到達点・ビジョン | なぜビジネスをするのか? |
| 目標 | 具体的な指標(Goal)と、攻略すべき標的(Target) | 誰(どこ)を狙って、何を達成するのか? |
| 戦略 | 目的・目標達成のためのルート・道筋 | どうやって勝つのか?(ルート選択) |
| 戦術 | 戦略を実行するための具体的な手段 | 何を使って勝つのか?(道具選び) |
これを「山登り」に例えると、その重要性がよくわかります。
- 目的: なぜ山に登るのか?(例:頂上の景色を見るため、挑戦して成長するため)
- 目標(Goal/Target): どの山(標的)に、いつまでに登るのか?(例:3,000m級の〇〇山に、来月の15日までに登頂する)
- 戦略: どのルートで登るのか?(例:体力を考慮し、整備された南ルートで登るか、あえて険しい北壁に挑むか)
- 戦術: どんな道具を使うのか?(例:最新の登山靴、ピッケル、酸素ボンベの準備)
これをさらに「ビジネス」に置き換えると、次のようになります。
- 目的: なぜビジネスをするのか?(例:業界の悪しき常識を変え、お客さんの負担を減らすため)
- 目標(Goal/Target): 誰を狙い、何を達成するのか?(例:〇〇に悩む30代の経営者をターゲットにし、1年以内に売上〇〇万円を達成する)
- 戦略: どうやって勝つのか?(例:大手や競合が手を出していない〇〇のニッチ市場に絞り、独自の価値を届ける仕組みを作る)
- 戦術: 何を使って勝つのか?(例:InstagramやTikTokでの発信、Web広告、コピーライティング、LINEのステップ配信)
目的(なぜやるか)がない戦略はただの作業になり、目標(ターゲットと指標)がない戦略は、どこに向かって撃てばいいかわからない大砲になってしまいます。
(※「どんなお客さんを狙うべきか(ターゲット・ペルソナ設定)」や、「具体的な数値目標の正しい決め方」については、それぞれ別の記事で詳しく解説していますので、あわせて読んでみてください)
ターゲット設定、ペルソナ設定に関する記事はこちらから↓


数値目標の設定に関する記事はこちらから↓


3.戦略なき戦術は、ただの「暗中模索」

多くの会社は、目的と目標(誰に何を売るか)が曖昧なまま、戦術(最新のSNSや広告)ばかりを買い集めています。
「競合がやっているから」という理由だけで、同じ戦術に手を出してしまうのです。
ルート(戦略)も標的(ターゲット)も決まっていないのに、最新のピッケルやInstagramのフォロワー増のテクニック(戦術)を自慢しているようなものです。
そもそも自社のステージ(現在地)が違っていたり、対象となるお客さん(ターゲット)が違っていたりすれば、その戦術はまったく意味をなしません。これでは、目的地にたどり着くどころか、遭難するのは目に見えています。
僕たちのような無名の経営者がビジネスという山を登り切るためには、流行りの集客法や不要な業務といった「余計なこと」に惑わされるのをやめなければなりません。
自社の現在地を正確に把握し、目的と目標(ターゲット)を見据えたうえで、正しい戦略(ルート)を決めること。そうすることで初めて、最短・最速で目的地にたどり着くための「強力な戦術」が機能し始めます。
ちょっとここで、胸に手を当てて考えてみてください。
- あなたのビジネスの「目的(なぜやるのか)」は明確ですか?
- 本当に狙うべき「ターゲット」と「数値目標」は見えていますか?
- 流行りの戦術に飛びつく前に、勝つための「ルート(戦略)」は決まっていますか?
もし、この3つの問いに即答できないのであれば……あなたのビジネスは今、暗闇の中で迷子になっている状態です。
「戦術よりも、まずは戦略を決める」
これこそが、暗闇の中で迷子にならず、ビジネスで長期的に売上をあげるための不変の原理原則なのです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S.
「Instagramを毎日更新しているのに売上があがらない」
「広告費をかけているのに問い合わせがこない」
もしあなたが今、そんな状況に陥っているのだとしたら、それは「戦略(ルート)が間違っているのに、戦術(道具)ばかりを振り回しているサイン」かもしれません。
自分のビジネスの現在地がどこにあり、戦略のどの部分に欠陥があるのか。
小手先のテクニック探しをやめて、まずは客観的な視点で自社のマーケティングのボトルネック(せき止められている原因)を特定してみてください。
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