From:西田貴大
以前、特になんの目的もなく、ふらっとTSUTAYAに寄ったときのことです。
いつも店に入ったらいの一番に向かうCDコーナーで(音楽が大好きなもので・・・)、とある無料サンプルCDが置いてありました。そして、そのCDに書かれていた「キャッチコピー」に、僕は思わず目を奪われてしまったのです。
それは、愛媛県のインディーズパンクバンド『LONGMAN』の無料サンプルCDでした。
当時はデビューして間もなく、まだ全然無名だった時期です。(「これから期待の四国の若手バンド特集!」みたいな感じで、他のバンドのCDと一緒に並んでいました)
なぜ僕がわざわざこのバンドの話をするのかというと、彼らが仕掛けていたキャッチコピーとマーケティング戦略(販売プロセス)が、起業家や経営者がビジネスを構築する上で、ものすごく手本になるからです。
TSUTAYAで思わず目を奪われた異色のキャッチコピー
まずは、僕が思わず立ち止まってしまったキャッチコピーに、どんな言葉が書かれていたのかをご紹介しましょう。
それは、『気をつけてください!』という強烈な一言でした。

これ、「えっ!」って思いませんか? 普通、CDのジャケットの表紙に「気をつけてください!」なんて書かれていたら、「なんだろう?」と気になって見てしまいますよね。僕も思わず気になってしまい、わざわざ近づいていって手に取ってしまいました。
そこには、こんな注意書きが書かれていました。 「聴きすぎてしまい、耳が壊れるから気をつけてください!」
よし、そこまで自信満々に言うなら聴いてみようじゃないか!と思って、僕は即座にその無料サンプルCDを借りて、家で聴いてみることにしました。
無料お試し(フロント)こそ、有料級の価値を提供する
見ず知らずのインディーズバンドの曲をいきなり聴いてみてどうだったのかというと・・・
これがねぇ~、すんごい良かったんですよ。
どれぐらい良かったかというと、CDを聴いたあとすぐに、いつも一緒にライブへ行く友達に電話して「このバンド、すごい良いから聴いてみて!」と薦めたほど衝撃を受けました。(今思うと、少し粗削りで歌詞も幼く、もう一段階成長してから出会いたかったなというのはちょっとありますが・・・)
無料サンプルCDの中には、彼らの勝負曲がしっかりと4曲も入っていました。
実はここ、マーケティング的にかなり重要なポイントです。多くの人が「無料だから」と手を抜いたお試し商品を作りがちですが、無料で配るフロント(集客の入り口)だからこそ、お客さんが感動する「有料級の内容」にすることが絶対条件なのです。
ミュージシャンらしからぬ完璧な「マーケティングファネル」
そして、彼らの戦略のすごいところはここからです。
CDの注意書きには、ご丁寧に「聴いた後にどういう行動を取るべきか?」がちゃんと書かれていました。「聴いてしまったら、次は本編のCDに手を出してしまうよ」と(笑)。
僕は彼らの指示通り、一切迷うことなく正規のアルバムに手を出し・・・なんと、そのままライブにまで足を運んでしまいました。(たしか、サヌキロックコロシアムだったと思います)
そのとき、物販で売られていたグッズは僕の好みじゃなかったので買いませんでしたが、それから数年が経った今でも、新しいアルバムが出ると必ず聴いています。
(※ただ、ライブには追っかけらしきファンのマナーが非常に悪くてケガをさせられたので、それ以来行っていませんが・・・)
以上が、僕が「無料」から始まる彼らのしっかりとした販売プロセスに、まんまとハマってしまった一部始終です。
彼らの販売プロセスをマーケティング用語で分解すると、以下のようになります。
- 無料サンプルCD(リード獲得/見込み客集め)
- 正規アルバム(フロントエンド/集客商品)
- ライブ(ミドルエンド/収益商品1)
- グッズ販売(バックエンド/収益商品2)
- リピート(2~4を何度も繰り返す)
多くのバンドのビジネスモデルは2~5までで、最初の「1(無料のリード獲得)」がありません。強いて言うなら、CDショップなどでの試聴やYouTubeのミュージックビデオが1にあたるくらいです。
あなたのビジネスに「販売の階段」は設計されているか?
これを見てみて、いかがでしょうか。 あなたのビジネスには、このように戦略的な販売プロセスが作られているでしょうか?(専門用語で言うと、これを『セールスファネル』や『マーケティングファネル』と呼びます)
もし、こういった販売プロセスが設計されていないのであれば、今すぐにビジネスの構造を見直すことをおすすめします。
マーケティングファネルを構築する最大のポイントは、お客さんが購入しやすいように「プロセスを階段状に設計してあげること」です。
たとえば、無料お試しから入ってもらって、次に初回の低額商品を売り、その次に、より高単価でもっとお客さんの役に立つ本命商品を販売する、という流れですね。
これが「階段が登りにくい最悪の例」だと、無料のお試しからいきなり50万円の高額商品を売ろうとしてしまいます。
たしかに、いきなり高額商品を売る方が、成約率が低くても手っ取り早く利益が出ることはあります。(見込み客が一番多い入り口の段階で高額商品をぶつけるわけですからね)
しかし、あなたが「圧倒的な営業力(セールス力)」を持っているという例外を除けば、基本はお客さんが登りやすい階段を設計してあげるのが、不変の原理原則です。
小手先のセールステクニックで無理やり売り込むのではなく、どういう順番で提供すれば、お客さんが無理なく次のステップに進んで購入しやすいのか?
お客さんの気持ちになって真剣に考え、あなたのビジネスの「販売プロセス(マーケティングファネル)」を論理的に設計してみてくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大
P.S. LONGMANのCDにはどれもキャッチコピーが付けられていて、心理的ギャップをうまく突いていて面白いです。(まぁ、「はぁ?どういうこと?」ってなる意味が分からないのもありますがね・・・笑)
ただ、一つだけ覚えておいてほしいことがあります。 どれだけ秀逸なキャッチコピーを作っても、今回解説したような「マーケティングファネル(販売の階段)」という構造の土台が壊れていれば、決してスムーズに売上をあげることはできません。
しかし、自分自身のビジネスを客観的に見渡し、ファネルのどこに穴が空いているのか(どこが最大の足かせになっているのか)を自力で見つけ出すのは非常に困難です。
もしあなたが「良い商品を持っているのに、なぜか売上が突き抜けない…」と感じているなら、まずは客観的な視点でビジネスの現状を診断してみることをおすすめします。
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いくつかの質問に直感で答えていくだけで、あなたが今すぐ対処すべき「本当の課題」と、次に打つべき具体的な一手が見えてくるはずです。
売れない理由を小手先のテクニックのせいにするのはもう終わりにして、ビジネスの構造そのものを強くしていきましょう。
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