From:西田貴大(香川県のマーケティングコンサルタント)
ここのところ
ずっと気になっていることがあります。
それは、数年前から
うちで使っている
食洗器用の洗剤なんですが・・・
それが
ちょっと変なんですよね。
食器用洗剤の謎
いったい何が変なのか?
というと・・・
なぜか詰め替え用の方が高い
なぜか詰め替え用よりも
正規のボトルの方が
安いんです。
これ、おかしくないですか?
普通は、
容器のコストがかかってない分
詰め替え用の方が安いはずです。
なのに、なぜか
詰め替え用の方が高い・・・
仮説を考えてみる
それは一体なぜなのか?
ちょっと考えてみました。
すると・・・
2つの仮説が浮かびました。
仮説1:一時的に損をすることで
その後、継続的に売上をあげる方法
まず、仮説1は
ジレットが始めたビジネスモデル
髭剃りのジレットと
同じビジネスモデルを
やろうとして
価格設定を
間違えたのでは?
という仮説。
髭剃りの本体を売っても
利益は取らない
もしかすると
女性の方は
知らないかもしれませんが・・・
髭剃りって
本体はけっこう安く
売られているんですよね。
おまけに、替え刃が何枚か
ついていたりするので
おそらくこの時点では、
そこまで利益は取っていない
と思います。
『本体は安く、替え刃は高く』
髭剃りの利益は、替え刃で取る
その代わり・・・
リピート商品である
替え刃が高い高い(笑)
これは、
結構な利益率のはずです。
お客さんは替え刃を買い続けるしかない
しかし、
その本体を買った以上は
他の替え刃を
付けることはできないので
お客さんは
ずっと、その商品の替え刃を
買い続けるしかありません。
というわけで
お客さんは、かなり長い間
その商品を使い続けてくれる
ことになります。
最初のオファーを強くして
選んでもらうことさえできれば
ずっと収益をあげ続けることができるビジネスモデル
なので、
とにかく最初のオファーを強くして
本体さえ、買ってもらえれば
ずっと収益をあげられる
という仕組みなのですが・・・
この洗剤は、それをやりすぎた?
この洗剤は、
その戦略の価格設定を
やりすぎてしまって
詰め替え用より
価格を下げてしまったのでは?
と・・・思ったのですが・・・
大手企業が
そんな馬鹿なことを
するはずがない(笑)
仮説1の学びのまとめ
なので、仮説2に移ろう・・・
と思いましたが・・・
その前に仮説1についてまとめます。
この仮説1の学びは
『その商品を売ると、お客さんが
延々とリピート商品を買ってくれるのなら
最初に利益は取る必要はない』
ということ
僕が実際に体験した
このビジネスモデルをうまく使ったキャンペーン
実際、僕が成人した時に
どこで調べたのか
こちらも髭剃りの
『Schick(シック)』から
「おめでとうございます!」
という手紙と共に
髭剃りをプレゼントされまして
その髭剃りを
7年ぐらい使ったことがあります。
このプレゼントキャンペーンで
Schick(シック)は、
元を取るどころか
結構な収益をあげたのでは?
と僕は思っています。
仮説2:無意識に競合の商品よりも
自社の商品を選んでもらう方法
そして次は、
おそらくこちらの方が
正しいであろう
2つ目の仮説を
お話ししていきます。
詰め替え用はおとり商品
さて、仮説2ですが・・・
なぜその洗剤は
詰め替え用の方が
高いのでしょうか?
それは・・・
詰め替え用は
『おとり商品』
だからです。
無意識にボトルの方を買うように仕組まれている
僕が思うに
これは、完全に
行動経済学を使って
無意識に
ボトルの方を買うように
仕向けられています。
おとり商品を使った戦略の事例
どういうことか?
例えば、あなたが
カメラを買いに行ったとします。
すると、お店には
A社のカメラと
B社のカメラが売られていました。
人は、特徴がまったく違う商品を
2つ並べられると、どちらが良いか選べない
A社の方は
大容量のバッテリーを搭載し
遠くまでズームして撮れますが・・・
ずっしりと重く
価格は4万6000円です。
一方、B社のカメラは
バッテリー容量や
ズームの距離はA社に劣りますが・・・
とにかく軽く
価格も3万9800円です。
この場合
あなたはどちらを選ぶでしょうか?
おそらく、それぞれに
長所があるので
どちらがいいのか分からず
なかなか選べないでしょう。
ここにおとり商品が入ると・・・
しかし、ここに
同じくA社の
前年に発売されたカメラが
(仮にA-とする)
すべての性能が
現行モデルより
少し劣るにも関わらず
4万8000円で
並べられていたらどうでしょう?
選択肢に、明らかに劣るよく似た商品が入ると
似た商品同士を比べて優れた方を買ってしまう
AとBでは
それぞれ長所が違い
比べられなかったものが
Aと似ているが
明らかにAより劣る選択肢
A-を提示された時、
人は
AとA-を比べる方が
AとB、A-とB
を比べるよりも
簡単なので
必然的に
AとA-を比べてしまい
最後に選ぶ選択肢は
Aということになるんです。
(ちょっとややこしいかな?)
このおとり戦略を洗剤の例に当てはめると・・・
この話を
先ほどの洗剤の話に
当てはめると
詰め替え用はA-で
ボトル版がA
他社製品がBということになり
お客さんは、
選択肢Bにあたる
他社製品を買わずに
ほとんどの場合
自社製品のAを買う
おそらくそんな風に、
仕組まれているのではないか?
と思います。
(もちろん、最初に買う場合は
詰め替え用は選択肢に入らないので
1度買った人がこの戦略の対象でしょう)
警告!この戦略を使う場合は、
儲けるためではなく
お客さんのために使うこと!
この『おとり戦略』は・・・
お客さんが無意識に
商品を選んでしまう
強力な戦略なので
お客さんが抱えている問題を
解決できないような
良くない(詐欺的な)商品を
知識がないために間違って
お客さんが買ってしまいそうな時など
「ここぞ」って時に
お客さんを助けるために
使ってみてください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
西田貴大