個人や企業が熱狂的なファンを生み出す「アーキタイプ・ブランディング」とは? 12の型から自社の役割を見つけよ

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From:西田貴大(香川県のマーケティングコンサルタント)

今回は、最近僕が学んで非常に面白かった「ブランディング」の深いお話をシェアします。

スモールビジネスにおいて、他社との価格競争から抜け出し、熱狂的なファンを作るためには「自社のキャラクター(立ち位置)」を明確にする必要があります。 そのための最強のフレームワークが、今回ご紹介する「アーキタイプ(原型)・ブランディング」です。

目次

すべてのヒット作に共通する「ヒーローズジャーニー(神話の法則)」

アーキタイプを理解するために、まずは「ヒーローズジャーニー(神話の法則)」という物語の法則について少しだけ触れておきます。

神話学者のジョセフ・キャンベルは、世界中の神話を研究した結果、「時代や文化を超えて長く語り継がれ、人々の心を打つ物語は、すべて『同じパターン』で作られている」ことを発見しました。 スターウォーズやハリーポッター、大ヒットする漫画なども、すべてこの法則に沿って作られています。

ざっくり言うと、以下のような構成です(全登場人物を出すと長いのでだいぶ端折ってますが…)。

  1. 平凡な日常を送る主人公が、ある日「冒険」に誘われる。
  2. 旅の途中で「賢者」に出会い、知恵を授かる。
  3. 仲間とともに数々の試練を乗り越え、最大の敵と戦う。
  4. 勝利(報酬)を手にし、成長して日常に帰還する。

あなた自身のビジネスのストーリーや、商品の開発秘話を語るときにも、この「ヒーローズジャーニー」の型に当てはめることで、お客さんの心を強烈に惹きつけることができます。

アーキタイプとは「物語における絶対的な役割」のこと

このヒーローズジャーニーの物語の中には、主人公を導く「賢者」や、場を和ませる「道化師」、立ちはだかる「支配者」など、様々な登場人物が出てきます。

心理学者カール・グスタフ・ユングは、人類が共通して無意識の底に持っている、これらの「絶対的なキャラクターの型(役割)」のことを『アーキタイプ(原型)』と呼びました。 全部で12種類のアーキタイプが存在します。

企業や個人がブランディングを行う際、「自分たちはこの12個のうち、どの役割を果たすブランドなのか?」を明確に設定することで、人々の無意識に強烈に刺さるブランドを作ることができるのです。

あなたのビジネスはどれ? 12のアーキタイプ一覧

それでは、12のアーキタイプをご紹介します。あなたのビジネス(またはあなた自身)がどれに当てはまるか、考えながら読んでみてください。

(自分本来のアーキタイプは25歳くらいまでに決まりますが、どう見られたいかやお客さんがどのアーキタイプを求めてあなたのところに来ているかは変えることができます)

ひと目でわかる!12のアーキタイプ一覧表

それぞれのアーキタイプが持つ特徴と、向いているビジネスのイメージを表にまとめました。あなたのビジネス(またはあなた自身)がどこに当てはまるか、考えながら見てください。

アーキタイプ(原型)役割・モットー(核となる欲求)向いているビジネスのイメージ
1. 無垢なる者楽園と幸せを求める、純粋なロマンチスト自然派食品、オーガニックコスメ
2. 普通の男女万人は平等と信じる、親しみやすい隣人日用品、大衆向けの飲食店
3. 英雄(ヒーロー)試練に立ち向かい、勇気で世界を良くするスポーツブランド、資格スクール
4. 世話役他者を保護し、見返りを求めずに尽くす介護・医療サービス、保険
5. 探索者束縛を嫌い、未知の体験と自分探しを求めるアウトドア用品、旅行代理店
6. 反逆者古いルールを破壊し、革命を起こす革新的なITツール、若者向けアパレル
7. 恋する者情熱的で、他者との深い繋がりを求める高級ジュエリー、美容サロン
8. 創造者想像力を駆使し、不朽の価値を生み出すデザイン制作、建築・アート
9. 道化師今を楽しみ、ユーモアで世の中を元気にするエンタメ系サービス、お菓子
10. 賢者知性と分析で真実を探求し、知恵を授けるコンサルタント、専門的なメディア
11. 魔術師宇宙の法則を理解し、不可能を可能にする最新テクノロジー、ビジョナリー企業
12. 支配者権力と責任感を持ち、秩序と繁栄をもたらす高級車ブランド、金融機関

スモールビジネスがアーキタイプで「差別化」する方法

「スターバックスのような大企業だからできるんでしょ?」と思うかもしれませんが、実はリソースの少ないスモールビジネスにこそ、このアーキタイプによる競合との「差別化」が不可欠です。

例えば、地域に2つの「フィットネスジム」があったとします。

  • A店:『英雄(ヒーロー)』のアーキタイプを選択「限界を超えろ! 己に打ち勝ち、理想の肉体を手に入れろ」というメッセージを発信。結果として、本格的に鍛えたい人や、高い目標を持つ層が集まります。
  • B店:『世話役(ケアギバー)』のアーキタイプを選択「無理なく、あなたのペースで。私たちが健康づくりを優しくサポートします」というメッセージを発信。結果として、運動初心者やシニア層、リハビリ目的の人が集まります。

やっている事業は同じ「ジム」でも、自社がどのキャラクター(アーキタイプ)の仮面を被るかによって、集まるお客さんの層(ペルソナ)も、発信すべき言葉も180度変わります。

自分たちのアーキタイプを明確に決めていないから、「誰にでも合いますよ」という無難な発信になってしまい、結果的に誰の心にも刺さらず、大手との価格競争に巻き込まれてしまうのです。

大企業は「創業当初」からアーキタイプを徹底している

「スターバックスのような大企業だからできるんでしょ?」と思うかもしれませんが、それは逆です。彼らは創業当初の何もない時代から、自社のアーキタイプを完全に徹底したからこそ大企業になれたのです。

スターバックスは「探索者(The Explorer)」のアーキタイプを選びました。だからこそ、アメリカでの創業当初は、探索者(船乗り)が出発する場所である「港町」にしか出店しませんでした。 さらに、ロゴには船乗りを誘惑する海の女神「セイレーン」を採用し、ブランドカラーも海や自然を連想させるグリーンで統一しています。店舗の場所、ロゴ、色、すべてがアーキタイプという「1つの軸」で作られているのです。

企業は「選べる」が、個人は「選んではいけない」

ここで1つ、非常に重要な注意点があります。 スターバックスのような企業は、自社の理念に合わせて12のアーキタイプの中から好きなものを「戦略的に選ぶ(設計する)」ことができます。企業にはブランドのルールがあり、複数のスタッフの力でそのキャラクターを演じきることができるからです。

しかし、社長や代表自身のキャラクターがそのまま看板になるような個人のコンサルタントやスモールビジネスの場合は、絶対に頭で考えて「このアーキタイプを選ぼう」としてはいけません。

個人の場合は「本来の自分」をベースにする

では、僕たちのような個人の場合はどうすればいいのでしょうか?

基本は、自分が何の苦もなく自然にできる「本来のアーキタイプ」を見つけて、それをベースにすることです。(僕の場合は「賢者」のアーキタイプです)。 なぜなら、個人が「本来の自分」とは全く違うキャラクターの仮面を被り続けることは、精神的にものすごく苦しくて、いつか必ずボロが出るからです。

実はアーキタイプには、ビジネスの構造に直結する「集客数と、1人のお客さんが長く通い続けてくれる度合いの反比例の法則」があります。

  • 本来のアーキタイプ(長くお付き合いできる): 自分が無理なくできる本来の役割(例:僕なら「賢者」)。専門性が高かったり、個性が強かったりするため、最初の「集客数」は少なくなる傾向があります。しかし、深く共感してくれるため満足度が非常に高く、結果的に1人のお客さんが何度もリピートして、長くお付き合いし続けてくれます。(バックエンド向き)
  • お客さんから求められるアーキタイプ(集客できる): ターゲットとなるお客さんが「今、あなたに求めている」役割。※これはあなたの業種やターゲットによって全く違います。 (例:あくまで「僕の場合」ですが、少しとっつきにくい「賢者」である僕に対して、うちのお客さんは「今の苦しい枠組みから抜け出して、一緒に新しい世界へ行こう!」と先導する『探索者』の要素を求めていたりします。しかし、別の「賢者」の人なら、ターゲットによっては「親しみやすい普通の男」や「笑わせてくれる道化師」を求められるかもしれません。テンプレの正解はありません)。 お客さんのニーズに合わせているため、最初の「集客数」は爆発的に増えます。しかし、本来の自分とは違うため関係性が浅くなりやすく、1回きりで終わってしまったり、単価が低くなりがちです。(フロントエンド向き)

事業の規模を拡大して売上をあげるためには、「長くお付き合いできる本来の自分」を軸にしつつ、入り口の集客用に「お客さんから求められている別のアーキタイプ」の要素も探りながら発信に取り入れていく必要が出てきます。自分」を軸にしつつ、入り口の集客用に「世間から求められる親しみやすいアーキタイプ」の要素も取り入れて発信していく必要が出てきます。

(※『金持ち父さん貧乏父さん』で有名なロバート・キヨサキも、本来は「賢者」ですが、求められていたアーキタイプが「反逆者」のアーキタイプだったため、あえて過激な反逆者を演じることで、あれだけの爆発的な部数を売り上げました。本人はかなり苦しかったはずです)。

究極の裏技:別アーキタイプとの「ジョイントベンチャー」

しかし、本来の自分とは違うキャラクターを無理して発信し続けるのは、精神的にしんどいです。

そこで使える最強のマーケティング戦術が、「ジョイントベンチャー(コラボ)」です。 自分に足りない「集客用のアーキタイプ」を演じるのがキツいなら、「すでにその圧倒的な集客力(アーキタイプ)を持っている他社」と組めばいいのです。

たとえば、「普通の男女」のアーキタイプであるユニクロは、万人に親しまれる圧倒的な集客力(誰でも着られる無難さ)がありますが、ブランドとしての熱狂や高揚感(熱烈なファンになって長く買い続けてくれるような関係性)はそこまでありません。

そこで彼らは、「英雄(ヒーロー)」や「探索者」のアーキタイプを持つ大人気アニメ(ワンピースなど)や、熱狂的なファンを持つバンドとコラボレーション(UTなどのTシャツ企画)をします。

自分たちにはない「特定のキャラクターやバンドに対する熱狂的なファンの力」を借りることで、普段は服にそこまでこだわらない層までお店に殺到させ、お互いの弱点を補って爆発的に売上をあげているのです。

個人のスモールビジネスも同じです。自分に「集客のアーキタイプ」が欠けているなら、それを持っているパートナーと組んで最初の集客(フロントエンド)を任せ、自分は「本来のアーキタイプ」に専念して、来てくれたお客さんと長く深い関係性を築いていく(バックエンド)。これが、苦労することなく最も賢く成功するビジネスの構造です。

まとめ:自分の「役割」をまっとうすればビジネスは上手くいく

アーキタイプを知り、自分がこの世界で果たすべき「役割(キャラクター)」に逆らわずにビジネスを展開すれば、無理をして自分を取り繕う苦労がなくなり、自然と成功にたどり着くと言われています。

ネット上に転がっている無料のアーキタイプ診断は結果がバラバラで当てにならないことが多いので、まずは上記の12の特徴を見ながら、「自分が何の苦もなくできる得意なスタンスはどれだろう?」と照らし合わせてみてください。

無理に合わないキャラクターを演じて火傷する前に、まずは自分本来の強みを尖らせていきましょう!

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

西田貴大


P.S. 本文でお伝えした通り、ビジネスを安定させるためには「自社がどの立ち位置(アーキタイプ)でお客さんに価値を提供するのか」というブランドの軸を定めることが不可欠です。

しかし、自社のことは自分たちでは客観視しにくいため、「自分たちの本当の強み」と「お客さんが求めている価値」がズレてしまっているケースが多々あります。

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