店舗経営者の多くが陥るビジネス拡大を狙った多店舗展開のワナ【※7年後の答え合わせ追記あり】

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From:西田貴大

僕が住んでいる街に、新しくパン屋さんができました。

それまで、僕が住んでいるこの街は「パン屋不毛の地」でした。 子供の頃に地元のケーキ屋さんがサイドビジネスでパン屋を始めたもののすぐに潰れてしまい、基本的にはスーパーに併設されたパン屋ぐらいしかなかったのです。

ところが最近、彗星の如く現れたそのパン屋さんは、またたく間に大行列の超人気店となりました。 そしてすぐさま、地域で人気のスーパーマーケットの駐車場に2店舗目を出し、さらにショッピングモールの空きテナントに3店舗目を出店するなど、とてつもないスピードで急成長し、市場を席巻しています。

短期間で3店舗も出店するほど急成長していて、はたから見れば大成功している印象ですよね?

しかし、僕はコンサルタントとしてこのお店を見て、「実は、全然儲かっていないんじゃないか? このまま店舗を増やすと危ない」と思っています。

なぜなら、おそらくこのパン屋さんは、店舗ビジネスをやっている経営者さんがよくやってしまう「ある致命的な間違い」をしている可能性が高いからです。

目次

店舗数を増やしても、比例して儲けは増えない

それは、どんな間違いかと言うと…… 『店舗数を増やせば、自動的に儲け(利益)も増えると思っている』ということです。

「えっ、多店舗展開すれば儲けは増えるんじゃないの?」と思った方は、少しビジネスの構造(会計)を見直す必要があります。

そもそもパン屋さんというのは、数百円のものをたくさん売って利益を出す「薄利多売」のビジネスです。 そして、利益が少ないうえに、食パン・フランスパン・惣菜パンなど品数が多いため、作るのにとても労力がかかり、たくさんの従業員を雇って多くの人件費を払う必要があります。なおかつ、在庫(廃棄)ロスも出やすい構造です。

商品1個あたりの利益(粗利)が極めて少ない状態のまま、ポンポンとお店を増やせばどうなるか。

新しく出店した店舗の家賃、新しい店舗の従業員のお給料、光熱費など、「お店を開けているだけで絶対にかかるお金(固定費)」がものすごいスピードで跳ね上がります。

見せかけの売上は増えるが、お金は手元に残らない

新しい店舗を出せば、確かに売上は増えます。数字上は一見、儲かっているように見えるでしょう。 しかし実態は、商品1個あたりの利益が増えないまま固定費だけが激増しているので、新しい店舗を出せば出すほど手元にお金が残らず、どんどん苦しくなっていっているはずなのです。

僕が想像するに、今、このパン屋の社長さんはこの悩みの真っ只中にいるのではないでしょうか。 「売上は増えているのに、お金がない…いったい何故だ!?」と。

そして、ここで踏みとどまれればまだいいですが、「こうなれば仕方がない、もう一店舗出して売上をカバーするしかないか」というところまで考えが行ってしまっていると、取り返しのつかないことになります。

ビジネスで何よりもモノを言うのは「粗利」である

もし仮に、僕がこのパン屋さんにコンサルティングをするとしたら、「まず、他の店を閉めて1店舗に減らしましょう」と伝えます。(もともと1店舗でうまくいっていたから、多店舗展開し始めたわけですからね)

店舗数を減らして固定費を極限まで下げた上で、何とかして「粗利」を増やす戦術を徹底的に取ります。

  • 安売りをやめ、価値を伝えて「値上げ」に踏み切る。
  • 商品数を思い切って絞り込み、廃棄ロスと人件費を下げる。
  • 関連商品をセットで売り、「購入点数(客単価)」を増やす。

結局、僕がいったい何を伝えたかったのかというと、『ビジネスでは粗利がとても重要だ!』ということです。 なんたって粗利は、ビジネスを動かすための原動力ですからね。

粗利が少なければ、人件費も払えませんし、なにより売上をあげるために重要な「広告費」も出せなくなってしまいます。そうなってしまえば新しいお客さんが入ってくる入口が無くなり、どんどんジリ貧になってしまいます。

そうならないためにも、あなたのビジネスでは「どうやったら粗利を増やすことができるのか?」を真剣に考えてみてください。 大きい粗利率が確保できれば、あとは広告費をガンガンかけて、集客の仕組みを回していくことができるようになりますよ!

粗利の増やす方法の1つはこちらの記事で構造を解説しています👇



【※追記】7年後の答え合わせ:5店舗から1店舗へ激減した理由

※ここからは、上記の記事を執筆してから「7年後」の現在の追記になります。

先ほど読んでいただいた通り、当時の僕は、絶頂期で多店舗展開を進めるこのパン屋に対して「このまま店舗を増やすと危ない」と予測していました。

あの時、飛ぶ鳥を落とす勢いで最終的に5店舗まで店舗を拡大したそのパン屋さんは、現在どうなったか。 次々とお店を閉め……僕が予測した通り、現在は最初の1店舗だけが細々と残っている状態です。

実はあの後、そのパン屋さんは4店舗目、5店舗目として、隣の市のエリアや、なんと「駅」にまで進出していきました。

これ、ビジネスの構造を知らないと「駅に出店するなんてすごい!大成功だ!」と思ってしまいますよね。 しかし、駅という立地は人通りが多い分、「家賃(固定費)」がとてつもなく高いという罠が潜んでいます。数百円のパンを売る薄利多売のビジネスで、駅のバカ高い固定費を毎月払うために、一体何個のパンを売り続けなければならないのか。考えるだけで恐ろしい構造です。

ビジネスが少しうまくいき始めたとき、一番怖いのは「なぜうまくいったのか」という本当の理由(構造)を見誤ることです。

あのパン屋さんが最初にお店を出して大盛況だった一番の理由は、「そこにしかパン屋さんがなかったから(立地や環境の恩恵)」という部分が圧倒的に大きかったはずです。 それを「自分たちのやり方なら、隣の市でも、家賃の高い駅でも、どこに出しても無限に売れる!」と自力を過信し、アクセルを踏み続けてしまった。

うまくいったのは、本当に自分のビジネスの仕組みが強いからでしょうか? それとも、たまたま運が良かったり、周りの環境のおかげだったりするのでしょうか?

ここを考えずに、ただ規模だけを大きくするのは、ブレーキの壊れた車で高速道路に乗るようなものです。

規模を大きくすれば、必ず「毎月かかるお金や労力(固定費)」も大きくなります。 お店を増やすことや、規模を大きくすることだけが正解ではありません。小さくても、しっかりと手元に利益が残り、あなたが心から安心できる丈夫なビジネスの構造を作ること。

ぜひ、今日という日を、あなたのビジネスの「本当の強さ」をゆっくり見直すきっかけにしてみてくださいね。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

西田 貴大


P.S. 結局、そのパン屋さんのパンは今でも食べたことがありません(笑)。 健康やトレーニングのために食事管理をしていることもあって小麦粉の食品をできるだけ避けているので、いっこうに食べられないんですよね。

「パンも食べずにビジネスを分析するな!」とツッコまれそうですが…(笑)。 でも、最初の1店舗が今も残っているということは、地元の人に愛される確かな良さはあったんだと思います。無理に広げず、身の丈に合った形で長く続けるのが一番ですね。

P.P.S. 本文でお伝えした通り、ビジネスを安定させるためには「見せかけの売上」ではなく、「手元に残る粗利」を最大化する構造を作ることが絶対条件です。

しかし、「自分のビジネスの粗利が低いのは分かっているけれど、どうやって値上げすればいいか分からない」「そもそも、何が原因で利益が圧迫されているのか、客観的に分析できない」と手が止まってしまう経営者が非常に多いのも事実です。 それは、経営者自身が日々の業務(現場)に追われ、自社のビジネスモデルの「全体の繋がり(構造)」を俯瞰できなくなっているからです。

現在、あなたのビジネスの「どこから利益が漏れ出ているのか」? その隠れた構造の欠陥を論理的にあぶり出す『マーケティング・ボトルネック診断』を無料で公開しています。

ブレーキの壊れた車でアクセルを踏み続け、取り返しのつかない事態に陥ってしまう前に、まずは自社のビジネス構造が根本的に間違っていないか、客観的なデータ視点でチェックしてみてください。

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